Story

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「トイレに行くんじゃなかったのかよ……」





息を切らしながら走って小嶋さん達を探す。








トイレに行く
って言ったから行ってみたのに二人は居ないし。







屋上も下のフロアも廻ったのに見つからない。








もしかしたら、
帰ったのかも………






そんな考えが浮かぶ。













待てよ………









探してない場所が1つあった。








ぎこちない会話をした場所。













――――給湯室だ。










勢いよく開けるとそこには、
泣いてる小嶋さんと、
慰めているあっちゃん。








「はっ………はっ………」








浅くゆっくり呼吸をする。









するとあたしに気づくあっちゃん。







「やっと来た。」








って怒ってるような笑いかけてるような声と笑顔であたしを見る。












「ごめん……





場所分かんなくて……」










「ったく………






にゃんにゃん、
サイッテーな大島先輩来たよ〜」









「うぐっ………」









ザックリ刺さるあっちゃんの言葉。





あたしの反応を見て笑うあっちゃん。








「むぅ………





知らなーい」






「ダメだよ〜?




折角来てくれたんだから」








「知らなーい」








あたしの顔を見てくれようとしない小嶋さん。






そして、
傷つくあたし。










勇気を振り絞って、
手を伸ばし頭を撫でる。










「ごめんね?




きつく言い過ぎたね……


あたしのこと思って言ってくれたんだよね?






でも、
あたしは一応先輩だから頼って欲しかったんだ。





小嶋さんなんでも一人でやるし、
出来ちゃうから。





少し位あたしのこと頼ってほしい。
って寂しかったんだ………






だから、ごめんね?」









「……………」








だんまりを決め込む小嶋さん。







「だって。
にゃんにゃん。」





「うん………」







「じゃあ、
あとは二人で話そっか?」








「うん……」








「優子」








「な、何?」







もしかしてあたしあっちゃんから説教?







「チェンジ」








「え?」










「チェンジ。」









まさか………








「あたしが?」







小嶋さんをあっちゃんの代わりに抱き締めるの?








「そ。」





ま、マジで?







無理って言わせないあっちゃんの眼差し。







「……………はぃ」








あっちゃんがゆっくり離れて、
俯いてる小嶋さんの前に立たされる。








「じゃねー」






ひらひらと手を振って出ていくあっちゃん。







ドアが閉まったと同時に小嶋さんが抱き着いてくる。







「………!!!!////」







恐る恐る背中に手を回す。






感じるのは、
温かい体温と
少しだけ速い小嶋さんの鼓動。







「ごめんなさい………」









「良いよ。




小嶋さんは謝らなくて。
あたしのこと思ってくれたんだし。




それを知りながら、
きつく言い過ぎたんだし。




謝るのはあたしだよ。」





「………」







「だから、





ごめんね?陽菜。」









「っつ…………////」







勢いよく上がる小嶋さんの顔。









「やっと顔上げてくれた」







至近距離の顔に緊張しつつも、
笑顔をつくる。






「い、今………////」








「ん?」










上げた顔を再びあたしの肩に埋めて、
囁く。








「ズルい………///」







何も言わずに頭を撫でる。








「今日はどうする?」








「薬あっちゃんから貰ったので、
定時まで居ます。」





「そっか。
分かった。





でも、
しんどくなったらちゃんと言いなよ?」







「はい……」








「あたしなんでもしたあげるから、
ちゃんと頼ってよ?」






「はい……」






「よし、じゃあ戻ろう!」







そういって出ようとしたとき、










「あの、」






服の裾を掴まれる。







「今日、




これよりしんどくなったら、
家に来てくれますか?////」









え、マジで……?
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