Story

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お酒のせいっていえば、
お酒のせいなんだろうけど、
何かのせいにしたところでさっきの喧嘩が無くなる訳じゃない。











時計は24時を指す。






「もう寝なきゃ………」








なのになんであたしの涙は寝させてくれないんだろう……?






「っあぁ…………」






その夜
あたしは人生で初めてなんじゃないか
ってくらい枕を濡らした。








寝れたのは二時間くらい。




目元が酷い。
とにかく冷やして、
化粧でごまかす。



















「ごまかしきれてないじゃん……」


鏡をみて呟く。












出勤するとそこにはもう小嶋さんが居てパソコンに向き合っている。







けど、
顔は無表情。
しかもあたしと同じくらい。
いや
あたし以上に酷い………






気まずくて挨拶しないまま、
あたしもパソコンに向かう。








「優子」







振り返ると








「社長………」








あたしは社長に呼ばれ社長室に向かう。







あたしがオフィスから出ようとしたとき、
あっちゃんが小嶋さんに寄っていったのを見て、
気づかれたって知った。










「失礼します」







「おー

入って入って〜」







くるんと大きな椅子を回してこっちに向く高みな。







「何の用でしょう?」






「とぼけないで





座りなよ。」








逃げれる訳ないか。







「はい」






「陽菜に何した?」







にゃんにゃんって呼ばない高みなの目は鋭くあたしを見据える。








「何かした訳じゃない」







「………」








「ただ昨日言い合いになって、
あたしが我慢できなくて、
余計なこと言った。」










「何の話したんや?」








「恋愛」








「…………なぁ優子」











「何?」







「陽菜のことどう思ってる?」












「……っ!!」









頭に浮かぶのは、
出会ったときからの小嶋さんの笑顔。








胸が苦しいよ………








「好き………」








「………………」










「好きだよ


あたしはずっと小嶋さんが好きだよ!!






出会ったときからずっと………」








「うん」





「なのにあたし……




恐くて、
関係が崩れたら、
って………




大好きなればなるほど不安で、
バレちゃダメだって…
逃げなきゃって…」







「うん」










「どうしょ





大事なのに大事に出来なかったよ………」









昨日あれだけ泣いたのに、
あたしは泣いている。





こんなに小嶋さんのことを想ってたなんて………











「ありがとう」








「へ?」







「それが優子のほんとの気持ちなんやろ?」








「うん。」










「にゃんにゃんのこと嫌いで傷つけた訳じゃないなら、






あたしは満足。」








「………」










「あとは二人で進むのが正しいと思う。






だから
これ以上は何も言わない。」










「…………」









「あたしは優子にならにゃんにゃんを任せれる








いや


任せたい。」







「!!!」










「まぁ、




話はそれだけ。」








「はい」









「じゃあ、
あとはよろしく。」








「高みな」









「ん?」









「あたしで「良いの?なんて言うなよ?」









「優子じゃなきゃダメなんだ」









「っ!!!」









「信じてるよ。」









「うん」










そう言ってあたしは社長室を出た。









そんなあたしを待っていたのは、






「小嶋さん」
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