Story

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落とし物となったカルテを片手にナースステーションを訪ねる。




内心心臓バクバクで、
ここに来るまでに何度も引き返そうとした。







でもやっぱりカルテって大事なものだし、
無いと仕事つっかえちゃうだろうし。
届けないといけないよね….










「ふーっ







よしっ。」






深呼吸をして気合い入れて、
ナースステーションに声をかける。






「すいません………」









気合い入れたのに結局尻すぼみ。
情けないったらありゃしないよね。








振り返った小嶋さんと目が合った時、
ドキッとした。




今までに無いくらい心臓が早く脈を打つ………








緊張してたさっきとは比べものにならないほどに。








お互い固まってたみたいで、
一瞬何しにきたのか忘れかけた。







あくまで冷静に普通を装って。
カルテを渡す。
声色も落ち着かせて、
けど素っ気ない感じじゃないように…………
って色々頭で考えながらカルテを差し出す。








良かった!
さっきとは違う感じで接した!
なんて喜んだ自分がバカだった。







私の手にあったカルテは勢いよく奪い取られた。








一瞬間が空いたあと、





「すいません……」






って気まずそうに謝る小嶋さんが私の横を足早に通り去って行った。






すごくすごく悲しかった。
初対面での自分のあの態度が招いたからだろうけど、
悲しかった………









「……………」







言葉が出なかった。
仮に溜め息が出ていった。







うつむきながら研修医室へと戻った。







仲良くなれないのかなぁ………。











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