*長編*
□目を冷ますまで
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「姫香…ごめんなさい」
お母さんはそう言っていなくなった
「…じゃあな」
お父さんはそう言っていなくなった
それから私はひとりで、
ひとりでふたりの帰りを待った
「捨てられちゃったんだ…」
私はそう言って歩き出した
現実を受け入れるのにかかったのは
……1年。
もしかしたら明日帰ってくるかも
そう思い続けて1年も経ったんだ。
涙を堪えて、
今までしていたバイトを辞める
だってもうあの家で待つ必要が
なくなったからね。
家賃を払わなくてよくなるでしょ?
身寄りのなくなった私は
当然行く当てもなく…
歩き続けて
ある場所に辿り着いた。
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