Request
□キャサリン様へ
1ページ/9ページ
*Beautiful World*
逢いたくて。
君に逢いたくて。
僕は毎日、探し続けてた。
君という名の、眩い世界を
「何そんな所で寝てんねん。ガキィ」
何日もご飯食べてなくて、しかも体のあちこちが痛くて。
これからどないしよう思て公園のベンチで寝てたら、突然ふって来た言葉。
その声はどこか居心地の良いもんで。
それに釣られて少し開けた眼には、鮮やかな金色が飛び込んできた。
僕がずっと探していたあの子を彷彿とさせる、金色。
それが僕と平子真子との出会い。
僕の世界が、二度目の輝きで溢れた瞬間やったーーー
****
微睡みの中、鼻孔をくすぐる良い香りが漂ってきた。
(これはコーヒーの匂いや)
それと同時に、忙しなく動き回る足音も聞こえてくる。
(平子さん、ほんま朝からよう働くなぁ…)
そんな事を頭の隅で考えつつも、覚醒には程遠い。
何せ僕は、自他共に認める低血圧やから。
(そろそろ来るな)
布団の中で一度寝返りを打つ。
だんだん近づいてくる足音。
そして、勢い良く開く部屋のドア。
「おい、こらギン!さっさと起きろや、クソガキがぁ!!」
響き渡る平子さんの声。
これが僕の、いつもの朝。
のっそり起き上がってまずは洗面所。
顔を洗って覚醒を促す。ある程度覚醒したところでリビングへ。
既にテーブルには朝食が用意されている。
ご飯、味噌汁、焼き鮭、昨夜の残りのサラダ。
うん、平子さん、いつでも嫁に行ける。
「何阿呆な事抜かしとるんじゃ!俺は男や!」
ガンッ!殴られた。ほんでもって、
声に出してたみたいや。
「痛ぁ…。ほんま、手の早い人や…」
「訳分からん事ぬかすからじゃ」
口も悪い。それでも僕にとって、唯一の家族。
「おはよう、平子さん」
「おう、おはようさん。ギン」
二人で食べる朝食は、いつも優しい味がするんやーーー