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□ゆき様へ
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『HAPPY DAYS』
護廷十三隊、三番隊隊長と十番隊副隊長を両親に持つ、市丸冬夜。
市丸家の長男で年は九歳。
年の離れた妹・ユキと、護廷随一の美女と名高い母・乱菊を溺愛する、父親であるギンそっくりの容姿をした少年である。
冬夜の目下の悩みは、直に来る愛しい妹の三歳の誕生日で。
筆片手に白い紙と睨めっこしていた。
プレゼントの候補を書き出してみるものの纏まらず、悩みの種を減らそうと、夕飯を作っている乱菊の元へと向かった。
「なぁ、お母さん。おとん、ユキの誕生日のプレゼント、何するって言うてた?」
最大の悩み、それはギンである。
過去二回プレゼントが被ってしまっている。
今年こそは被らないようにしたい。
「ギン、あたしにも教えてくれないのよねぇ。冬夜は決まってるの?」
「ううん。おとんのプレゼント聞いてからにしようと思って。また被るん、嫌やもん」
拗ねたように唇を尖らせた息子を見て、乱菊は微笑んだ。
ギンをそのまま小さくした容姿の冬夜は、中身もギンによく似たところがある。
霊術院生だが、両親には似ず授業態度は至って真面目。
性格も男らしく男女問わず慕われる
、リーダー的存在だ。
だが、乱菊とユキの事となると恐ろしい程ギンに似ている。
「そうねぇ。じゃあ、直接ギンに聞いてみたら?」
「絶対教えてくれへんと思うわぁ。おとん、子どもみたいなとこあるし」
「言えてる」
かつて蛇のようだと揶揄され、その笑顔が胡散臭いと散々言われてきたギンは、結婚し子どもができた事でかなり変わった。
冬夜の事は、『自分に瓜二つでおもろい』など言いながら、何処に行くにも連れて回った。
まぁ、成長するにつれて乱菊ラブな息子を、ライバル視するようになってはいたが…。
ユキが生まれてからは更にその争いは激化した。
乱菊に瓜二つなのである、ユキは。
『ユキ〜、パパんとこおいでー。パパと一緒に遊ぼ〜』
『僕がユキと遊んどくから、おとんは早よう仕事行けば?』
『イヅルがおるから大丈夫なんや。それにユキと遊ぶんは僕や』
『そんなんやから、イヅルは胃薬手放せへんねん。ええ大人やねんから、周りに迷惑かけんようにしぃや』
『生意気な事言うやないの。いつからそない可愛げのうなったんや』
『さぁ?お母さんは僕の事可愛い言うてくれるし』
と、まぁこんな感じの喧嘩は日常茶飯事だ。