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□KANA様へ
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『君の隣は僕のもの』
僕には大好きな幼馴染がおる。
可愛くて、別嬪さんで、ちょっと怒りっぽくて、でも心の優しい女の子。
松本乱菊。
それが幼馴染の名前。
どや?名前も可愛ええやろ?
家も隣で、生まれた時から一緒に育ってお互い、一番親しい異性やと思っとった。
そう。アイツが現れるまではーーー
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「らーんー、おはよーさーん」
買って知ったるとはこの事で、僕は何の躊躇いもなく、松本家へと入って行く。
乱菊はお寝坊さんやから、起こすのは僕の日課。
乱菊のお母さんもお父さんも、朝早くから仕事に行くから、彼女の面倒は僕が見てるっちゅうわけや。
まぁ、それが僕の楽しみでもあるんやけどな?
ただ、その楽しみを邪魔しよる奴もここにはおって。
それが…
「おい、市丸…。てめぇ、松本の部屋にズカズカ入るのやめろ。目障りだ」
階段を登りきったと同時に響く、冷たい声。
仏頂面した、僕と同じ銀髪の少年・日番谷冬獅郎。
一ヶ月前から松本家に居候しとる僕のライバル。
「おはようさん、日番谷君。僕、前も言うたよな?乱菊起こすんは僕の日課やて。それに目障りなんは、君の方や」
乱菊の遠い親戚か何か知らんけど、ほんま目障りやねん、この子。
歳は僕らの三歳下の高校一年生。
顔もまぁええし、頭もええ子やけど、乱菊に関しては口煩い姑みたいな子ぉや。
「だから、それも無用だ。今は俺がいるからな。松本は俺が起す。てめぇは用済みだ」
「…はぁ?君が乱菊起こせるはずないやろ?あの子、寝起き極悪やからな。あんま調子乗った事言うもんちゃうで?」
そう。乱菊の寝起きは極悪、やった。
そらもう足は飛んでくるは手は飛んでくるは、しまいには頭突きや。
それでも長年のやり取りで、僕が起こす時だけ素直に起きるんやけど…
「おはよう、ギン。さっ、一緒にご飯食べましょ?」
あれぇ?あの颯爽と部屋から出てきた美女は誰ですか??
何で乱菊、もう起きてんのー?
そこで日番谷君がニヤリと笑ったのを見て、僕の心は一層落ちつかんくなった。
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