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□KANA様へ
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    『君の隣は僕のもの』



 僕には大好きな幼馴染がおる。

 可愛くて、別嬪さんで、ちょっと怒りっぽくて、でも心の優しい女の子。


 松本乱菊。

 それが幼馴染の名前。

どや?名前も可愛ええやろ?

 家も隣で、生まれた時から一緒に育ってお互い、一番親しい異性やと思っとった。


 そう。アイツが現れるまではーーー



****


 「らーんー、おはよーさーん」

 買って知ったるとはこの事で、僕は何の躊躇いもなく、松本家へと入って行く。

 乱菊はお寝坊さんやから、起こすのは僕の日課。

 乱菊のお母さんもお父さんも、朝早くから仕事に行くから、彼女の面倒は僕が見てるっちゅうわけや。

 まぁ、それが僕の楽しみでもあるんやけどな?

 ただ、その楽しみを邪魔しよる奴もここにはおって。

 それが…


 「おい、市丸…。てめぇ、松本の部屋にズカズカ入るのやめろ。目障りだ」

 階段を登りきったと同時に響く、冷たい声。

 仏頂面した、僕と同じ銀髪の少年・日番谷冬獅郎。

 一ヶ月前から松本家に居候しとる僕のライバル。

 「おはようさん、日番谷君。僕、前も言うたよな?乱菊起こすんは僕の日課やて。それに目障りなんは、君の方や」

 乱菊の遠い親戚か何か知らんけど、ほんま目障りやねん、この子。

 歳は僕らの三歳下の高校一年生。

 顔もまぁええし、頭もええ子やけど、乱菊に関しては口煩い姑みたいな子ぉや。

 「だから、それも無用だ。今は俺がいるからな。松本は俺が起す。てめぇは用済みだ」

 「…はぁ?君が乱菊起こせるはずないやろ?あの子、寝起き極悪やからな。あんま調子乗った事言うもんちゃうで?」

 
 そう。乱菊の寝起きは極悪、やった。

 そらもう足は飛んでくるは手は飛んでくるは、しまいには頭突きや。

 それでも長年のやり取りで、僕が起こす時だけ素直に起きるんやけど…


 「おはよう、ギン。さっ、一緒にご飯食べましょ?」

 あれぇ?あの颯爽と部屋から出てきた美女は誰ですか??

 何で乱菊、もう起きてんのー?

 そこで日番谷君がニヤリと笑ったのを見て、僕の心は一層落ちつかんくなった。


****
 
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