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□ナナ様へ
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*愛しい君たちへ*
幼馴染みである乱菊と結婚したんは、もう何年も前の事。
結婚してからも副隊長は続ける言うて、まだ仕事上は姓を名乗っとるけど、ほんとの姓は『市丸』や。
市丸乱菊。それが、ボクの愛しい奥さんの名前。
一緒に家を出て、同じ家に帰るいう生活は、何や昔のようで。
結婚した当初は、何とも言えん思いがこみ上げてきたもんや。
乱菊との生活は平穏で満ち足りた毎日で、出逢ってから百年は軽ーく経ってる筈やのに、愛しさは日に日に増していく。
乱菊という存在自体が、ボクにはなくてもならんもんで。
小さい頃から変わらずボクを愛し続けてくれた乱菊には、ほんま感謝しとる。
そんな幸せ真っ只中のボクやけど、一つ気がかりがある。
なかなか子どもがでけへんねん。
けっこう頑張ってるんやけどなぁ。
乱菊も気にしとるみたいで、四番隊長さんとこ、よう行ってるみたいや。
でも子どもは授かりもんやからな。
気長に待つしかないか。
「市丸隊長、さっきから何ボケーッとしてるんです?書類の量、減ってないみたいですけど?」
そういやまだ仕事中やったな。
イヅルの声に、ハッと我に返った。
「ん?あぁ、今頃乱菊何しとるんやろと思てな」
「ほんと、乱菊さんの事ばかりですね。隊長は」
「ボクら、ラブラブやから」
「はいはい。さっさと書類、片付けちゃって下さいね。それ終わらないと愛しの乱菊さんの所に帰れませんよ」
机に山積みになった書類とイヅルの顔を交互に見た。
コクリとイヅルが頷く。
「…嘘ぉ…」