お題(ほぼギャグ)
□どっちがいい?
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とある日の午後。外は雲ひとつない青空。
昼休みも終わり、時間的に一番眠くなる時間帯である、五時間目。
窓際に座っているグリムジョーは、外を眺めながら欠伸を噛み殺した。
「ほな、今日は昨日の続きから行くでぇ〜」
数学担当である市丸ギンの間延びしたような喋り方に、若干苛立ちを感じるものの、今はその声すら心地良い眠りを誘う。
(ったく…。何で俺様がこんなとこに座って、勉強なんざしなくちゃならねぇーんだ…)
「そら、君が学生やからやろ?設定に無理あるんは、この際勘弁したって?」
確かにグリムジョーは心の中で悪態をついたはずだ。
何故ギンは的確に答えられる?
「だって君、単純やから顔に出とるんやもん。分かり易すぎやわぁ」
愉快そうにコロコロ笑いながら答えるギンに、グリムジョーのイライラは最高潮に達した。
「せんせー」
いつもは呼び捨てなのだが、グリムジョーはギンを『先生』と呼んだ。
これは何かあると、ギンには分かったので、躊躇いがちに言う。
「な、何?君から先生て呼ばれるん、気持ち悪いわぁ〜」
「半殺しにするなら、右半分と左半分どっちがいいですかー?」
…………………。
「うん、取りあえず完璧死ぬからな?その状況、待ってるのは死やからな?半殺しちゃうからな?」
今日も平和だなと、二人の会話を聞きながら、イヅルはフッと笑みをもらした。
視線は教科書にあるものの、イヅルの視界がだんだんぼやけて行くまで、そう時間はかからなかった
END