A

□日常
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 ここは、確かに十番隊執務室で合ってるよな?


 「乱菊〜、お茶とってくれへん?」


 俺、寝ぼけてる訳じゃ、ねぇーよな?


 「はい。ギン、そこの雑誌とって〜」


 仕事のしすぎか?これ、幻覚かな?



 「はいよー。…何か小腹空かん?」


 …………。


 「それもそうね。あっ、日番谷隊長、戸棚の蕎麦饅頭と干し柿取ってきてくださいよー」




 ああ。これは現実か。

 
 十番隊執務室のソファに寝そべって楽しげに笑ってる、いけすかねぇ狐野郎がいるのも。

 狐野郎の向かいに座って 雑誌読みながらケラケラ笑ってる、万年サボりの副官が今自分に言った言葉も。



 そうかよ、現実かよ。



 ブチン…。



 「ちょっと、隊長聞いてます〜?戸棚の〜」


 「てめぇらさっさと出て行きやがれー!!!」



 二人の首根っこを掴んで、扉の外へと放り投げ、やっとこさ平常心を取り戻す。


 
 「…ほんと、誰かこのポジション変わってくんねぇーかな…。俺、疲れた…」


 遠い目で晴れた空を見上げると、視界が涙で滲んだような気がした。



 俺の人生、あいつらに振り回され続けるのかもしれない。




これが日常化し疲弊していく自分を想像して、


俺はガックリと肩を落としたーーー





END




 
 (あーあ、十番隊長さん、泣いてるかもしれへんよ?)

 (意地悪しようって言い出したのはギンだからね?)

 (ノッた時点で、乱菊も同罪や)

 (それもそうか…。ねぇ、今から隊長の好きな甘納豆買いに行きましょ、ギン)

 (それから雛森ちゃんも誘って、十番隊の執務室で、お茶しよか。機嫌とっとこか)
 

 (ええ、そうしましょ)


 乱菊とギンは笑みを浮かべながら、連れ立って歩きだした…



 




今度こそおしまい。
 

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