銀猫の導き・二

□まほろば〜世界の彼方までも〜
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  一 消えた残像




 おかしい。

 いくら探っても、乱菊の力の名残すら感じられない。

 ギンは己が世界が壊れ始める音を、頭の隅で聞いた、気がしたーーー


****


 道なき道を走っている。

 それはいつもの事で、何も珍しい事じゃない。

 ただいつもと違うとすれば、乱菊が隣にいないという事。

 どうして、何故、なんの為に…

 色々な疑問が頭を過ぎっては、分かりきっている答えに奥歯を強く噛み締めた。

 乱菊の最近の態度をみていれば、いずれはこうなると分かっていた。

 それでも余裕があったのは、乱菊の力がギンは眠っていても分かるからだった。

 それが全く分からない。こんな事は初めてで、ギン自身気が狂いそうな程だ。

 自分の世界と言っても過言ではないくらい、大切な乱菊。

 その乱菊がいない。

 何処にもいない。


 力を感じ取る事ができない…それが何を意味するかなんて、良く分かっている。

 認めない。認めない。認めない。


 「…っ…乱菊ーーー!!!」

 声の限り叫んだ。愛しい人の名前を。

 それでも返事は、かえって来ないけれど…




 頼む、乱菊。

 戻ってきて。


 ボクを、置いていかんといてーーー



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