彩歌

□Prologue
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 僕が初めてあの男・藍染惣右介を見たんは、乱菊を見つけた後の事や。


 ある日、干し柿持って家に帰ろ思てたら、ここいらでは見慣れん黒い服を着た男の集団を見かけた。

 男の一人は何や光るモン持ってて、下衆い笑みを浮かべとった。
男達が去った後、目に飛び込んできたのは一人の少女。
体中傷だらけで、気を失ってるようやった。

 (あの男らに何かされたんや…)

 歳も同じくらいに見えるし、自分とおんなじ力を持っているのも分かる。
気づいた時には、少女に干し柿を渡す自分がいた。


 少女は乱菊と名乗った。
可愛いこの子にピッタリな名前やと思った。まぁ、僕が市丸ギンって名乗ったら、乱菊は変な名前て、言うてたけど。

貧しい暮らしやったけど、乱菊との生活は僕にとってかけがえのないものになっていた。
この幸せがずっと続くもんやと思ってたんや。


 乱菊が笑ってくれると嬉しくて、彼女が泣けば、胸が痛くて。
僕達は二人で一人やった。

 せやけど、たまに気になる事があった。
 あの男達が持ってたあの光ってたモン。あれは一体何や?
乱菊から何を奪った?

それに、ほんまたまにやけど、乱菊は少量の血を吐くことがあった。
頻繁でもないし、具合も悪そうやない。ほんの少しの吐血。

乱菊は何でもないわよって笑ってたけど、僕は言いようのない不安を覚えてた。


 そんな不安を抱えてた時やった。藍染を見たんはーーー


 偶然見たあの光景を、僕は一生忘れへん。 
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