彩歌

□修羅
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 殺ったと、思たのに。

百年間望み続けた崩玉を、一度はこの手で握り締めたのに…。


 こらあかん。

 ああ、乱菊…。




 藍染の胸を『神殺鎗』で穴あけて、一度は手にした崩玉。

 
 胸に穴が開きながらも、尚も僕へと襲い来る藍染の左手から逃れ、僕は瞬歩で遠くに隠れた。


 藍染の手が掠った僕の右手は、少し抉れてた。

でもそんなん気にならんくらい、崩玉を手に入れた高揚感の方が大きくて…。

 
 (終わりや…。これで終わりーー)

そう、思ったのに。

 
 藍染を殺すどころか、更なる進化を促してしもて、気づけば奴の刀で自分の身が大きく裂かれてた。


 (藍染…!!)
 
 僕は眼を開き、飛び散る鮮血と、この手からヤツの元へと戻ってしもた崩玉に眩暈を感じながらも、憎いこの男を睨み付けた。


 (あかん。それが無いとあかんねん…。それが、無いと乱菊が!!)

 藍染から視線を外すことなく伸ばした右手。


 もう少しでまた崩玉に触れる。そこで右手を掴まれ、そのままもぎ取られた。

 胸の血も止まらへんなか、右手からは新たな鮮血が舞う。


 そして、胸をも貫かれた。



 (……あぁ…。約束、守れへんかもしれへん…僕は、あかんかも…。せやけど…乱菊だけは…)


 「ーー進化には恐怖が必要だ。今のままではすぐにでも滅び・消え失せてしまうという恐怖が」


 ーーー五月蝿い…。黙れ。


 「ありがとう、ギン。君のお陰で私は、終に死神も虚も超越した存在となったのだ」


 僕が乱菊を…


 ま も る ! ! !


 
 自分の身から引き抜かれた刃を掴み、残りの力全てで藍染へと向かった。


 こんな事で諦めれるくらいの望みやったわけやない。


 たとえこの身が引き裂かれ、腕をもぎ取られ、鮮血に染まろうとも、僕は諦めへん。


 こんなんでお前への憎悪が無くなると思うな。


 犠牲にしてしもた仲間。裏切ってしもた戦友。

 辛い思いをさせて、今まで苦しめてしもた乱菊!


 僕がこれまでどんな気持ちやったか、お前に分かるか?


 僕の心はこないに簡単には折れへん。
 


 僕の覚悟、思い知ればええ! 
  
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