彩歌

□恋歌
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 ねぇ、ギン。


光り輝くお月様にお願いしたあたしの想い、ちゃんと届いてる?




 
 空座町での戦いのあと、気がつけばもうギンはいなかった。

 
 倒れてるギンに、縋り付いて泣いていたけど、また大量に血を吐いてしまって、あたしは気を失った。


 次に目が覚めた時に飛び込んできたのは、心配そうにあたしを見つめる隊長と吉良の顔だった。


 だからあたしは、あの後ギンがどうなったのか知らない。


 それこそ、霊子になって消えたのか、自分の意志で消えたのかさえも、あたしを含めみんな知らない。


 隊長も吉良も、あたしを見つけた時には、既にギンの姿は無かったと言っていたから。


 
 あの戦いから既に、半年が過ぎようとしている。

 藍染は一護の手によって倒され、ソウルソサエティもまた、前のような平和を取り戻した。


 遠い昔、あたしが藍染の策略によって奪われた魂魄の一部も、一護がギンに託されたという資料のお陰で、十二番隊によって戻された。


 奪われてたなんて、あたし知らなかった。

 でもギンはそれを取り戻す為に、百年以上もたった一人で戦ってきたんだって。


 全ては、あたしの為だったんだ。



 その話を一護から聞いた時は、びっくりしたわよ。


 ギン、ねぇあんた生きてるんでしょ?


 死んだなんて言わせないわ。

毎晩月に願ってるんだもの。

あんたが早く帰ってきますようにって。

届いてないはずないわよ?
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