彩歌
□真っ白な羽
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どんなに無垢な心を持っていようとも、その白さは欲望に黒く染まる。
だから人間は、愚かだと言われるのだろうか?
愛しき者の裏切りと、散った命。
幸せな時は、ちゃんと合ったのか?
アイツを失い、どれだけの絶望がお前を襲っただろう。
それでもお前は、真っ白なままなんだな。
松本…。
初めから、お前とアイツの出逢いは、罪と背徳の運命にあったのか。
お前はずいぶん、愚かな恋にもがき続けていたな。
でも、俺は知ってる。
いつも笑顔なお前が、人知れず、涙を流していた事を…
なぁ。お前を守らせてくれないか?
たとえ俺の翼が、もがれてしまったとしても。
天に背いたとしてもーーー
あぁ、世界の終わりだ。
舞い堕ちる、お前の真っ白な羽。
天の嘆きか、はたまた宝に触れた俺への罰か。
穏やか光の中、確実に囚われたままの、俺と松本。
俺は松本に、松本はアイツに…
空高く舞うお前の羽。
微睡みの中で瞼を閉じると、
静かに笑う、お前とアイツを見た気がした。
世界は終わった。
せめて、永遠の夢の中ではお前の掌を強く、握りしめてもいいだろうか?
舞い堕ちる真っ白な羽を、
離さないようにーーー
END