彩歌

□本当のさようなら
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 『あの頃にまた戻れるのなら 君を離しはしないから』



 風が運んでくる春の訪れに、僕の心は温まるどころか虚しい隙間風が吹いている。

 
 君と別れて幾度の季節を越えたか、もう分からへん。

いくら時が経ったとしても、君がいない傷を癒すどころか、

ふいに想いが溢れ、こぼれ落ちて…ただ壊れていくばっかりや。


 『君が欲しくて 君を抱きしめ 君の全てを求めてた』


 君があの日告げた切ない言葉では、僕の心の中の君を消す事ができんひんくて、

 いつまでも引きずるこの想いに、黒い終止符がうてへん。

 せやからいつまでも空に、二人でおった頃の君を、探してまうんやろね。


 
 君はちゃんと、笑ってる?

 君はまだ、泣いてる?

 僕は未だに孤独なこの部屋で、君の名前、呼んどるよ。


 
 
 君が欲しくて 君を抱きしめ 君の      
全てを求めてた

 あの頃にまた戻れるのなら 君を離しはしないから


  せやけど…


 醜く歪んだこの果てなき途を、

君を残して歩き始めたのは僕やから、


この詩を今唄うことで、


君に本当の さようなら…





END
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