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□KANA様へ
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僕と乱菊は同じ大学に通ってる。
専攻は違うけど、時間が空いたらとにかく一緒におる。
やけど、お互いに気持ちを明かした事はない。
こんだけ近くにおって、一緒におって、気兼ねなく接する事ができるのに、僕らは恋人やない。
周りには付き合ってるて思われてるのに、そうやないこの事実。
そら赤ん坊の頃から一緒におれば、隣におるのが当たり前、みたいになるのは当然かもしれへんけど…。
ほんま最近の僕は、欲張り。
確実な答えが知りたくて、今の関係から一歩進んだ関係になりたがる僕は、ほんま欲張りやわ。
「なぁ乱菊。今日はどうやって起きたん?まさか自分で起きたわけちゃうよな?」
大学までの道すがら、努めて明るく僕は聞いた。
乱菊もいつも通りの声で答えた。
「当たり前じゃない。あたしが朝弱いの、ギンが一番知ってるでしょ?冬獅郎が起こしてくれたのよ」
あぁー…冬獅郎。…冬獅郎、なぁ…。
乱菊が他の男呼び捨てにするんは珍しくもないのに、今は何や面白くない。
「ギンにばっかり迷惑かけるなって、怒られちゃったわ。ごめんね?いつも大変だったでしょ?」
んな訳ないやん。
大変やなんて、思った事ないし。
むしろ嬉しいけどな?乱菊のそういう誰も知らん姿、見れるんは…。
それに何なん。日番谷君に言われる筋合いもないわ。
「…ほんと、反省した、のよ?あたし、ギンが隣にいるのが当然!とか思ってて…。あんたに迷惑かけてるなんて、これっぽっちも思ってなくて…」
隣におるのが当然…?
乱菊も僕の事、そう思ってくれてたんや。
「迷惑やないし、当然の事やろ?」
「え?」
「乱菊の隣に僕がおる。それって、当然の事やろ?」
乱菊の腕を掴んで真剣な目で見つめれば、乱菊の顔が赤くなっていった。
この反応は…。
「なぁ?乱菊。そうやろ?」
「えっ!?やっ、ちょっ!!」
ますます顔を赤くして、挙動不審になる乱菊。
もうひと押しや。そう思たのに…。
「公道のど真ん中でセクハラしてんじゃねぇーよ」
後頭部を誰かに殴られて激痛が走る。
その原因が日番谷君て、声で分かった。
ってか、絶対わざとやろ?
わざと僕の邪魔したやろ?
「あっ、とっ、冬獅郎!?」
「電車に乗り遅れるぞ、松本」
「そ、そうね!えと!じゃ、ギンまたね!」
乱菊はそう言うと、僕達を置いて走って行った。