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□KAMU様へ
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「ギンちゃん、ちょっと休憩しよ〜」
「やちるちゃんは全然歩いてへんやん」
ケラケラと笑いながらあたしを降ろすと、袂に手を入れながら空を見上げた。
ねぇ、ギンちゃん。
今誰をあの空に思い浮かべてる?
あたしも土手に座って、ギンちゃんみたいに空を見上げてみた。
剣ちゃんとツルリンとゆみちーが思い浮かんだ。
雲ひとつない青空で、太陽が眩しい。
そのうちギンちゃんもあたしの隣に腰を降ろして、今度は川をながめている。
「はい、ギンちゃんにもあげる」
らんらんから貰った飴を一つ、ギンちゃんの掌に置いた。
すると、いつもは閉じたまんまのギンちゃんの瞳が開いた。
うわぁー。ギンちゃんの瞳の色、らんらんと同じお空の色だ。
「あっ、おーきに。なぁ、やちるちゃん、この飴…」
「らんらんがねぇ、あたしがお散歩に行く時いっつもくれるんだよー。大切な思い出が詰まってる飴なんだってー」
教えてもらえたのはそれだけで、どんな思い出が詰まってるの?って、きけなかったんだけどね。
何だか聞いちゃいけない気がしたんだ。
らんらんにとってそれは、とても大切なもので。
簡単に他人が踏み込んじゃいけないって、思ったの。
ギンちゃんはその飴をジッと見つめたあと、口にポイッと放り込んだ。
あっ、また目が閉じちゃった。
もっと見てたかったのに、残念。
「そうかぁ。十番隊副隊長さんの、大切な思い出か…。甘くて美味しいなぁ」
「うん!きっと、幸せの味なんだよ。だって、その話をしてくれた時のらんらん、すごく幸せそうに笑ってたんだ〜」
あたしがそう言ったら、ギンちゃんもこっちを見てくれて…
「そうか…」
って呟きながら、頭を撫でてくれた。
いつもと違う、優しい笑顔で。
ねぇギンちゃん、らんらん。
何だか胸がチクチクするし、モヤモヤするよ。
二人の笑顔を見ていたら、辛くなる時があるよーーー