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□キャサリン様へ
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 「ほな、俺は先行くからな。お前も気ぃつけて学校行けよ」

 靴を履きながら、平子さんが僕を振り返った。

 「うん。今日からおんなじ学校やね」

 「せやな。入学式、遅れんなよ」

 僕の頭をグシャグシャ撫でてから、平子さんは家を出た。


 「さて、と。僕も準備しよか」


****


 
 僕と平子さんの共同生活は、かれこれ五年目を迎える。

 男好きやった母親は、若くで僕を産んだ。

父親が誰か、教えてもらった事もない。。

あんま家におらんかったし、僕の事も興味無さそうやったし。

そのうち捨てられるかもな、思てたらほんまに捨てられた。

 捨てられたっていうか、施設に連れて行かれたんやけどな。

 『必ず迎えに来るからなぁ』

 母親はそう言うたけど、それが嘘なんも分かっとった。

 あの人は実の息子である僕よりも、男を選んだんやから。

 その時、僕は5歳やった。


 でもな、悪いことばっかりでもなかったんよ。

預けられた施設で僕は、生まれて初めての恋をした。

 松本乱菊。

僕の愛しい人の名前。



 太陽みたいに輝く金髪。
僕と同じで青い眼に、端整な容姿。

性格は可憐な容姿からは想像出来んくらいサバサバしとって、明るい。お転婆。

 周りから気味悪がられてた僕の銀髪を、『綺麗』と初めて褒めてくれたんも乱菊やった。


 その施設で三年間、乱菊と一緒に暮らしとったけど、優しそうな夫婦に引き取られていった。


 それから乱菊とは会えへんまま、更に二年。

十歳の時に僕も平子さんに引き取られた。


****



 
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