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□ゆき様へ
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微笑むギンに、それを嬉しそうに見ている乱菊とユキ。
そして、あからさまに嫌な顔する冬夜。
「…うわぁ。チュウとかほんまやめてぇやぁ。お母さんやったら大歓迎やけど」
頬を撫でながら、よっこいしょとギンの腕から降りる冬夜に、コメカミにでっかい怒りマークを拵えたギン。
乱菊はアチャーと頭を抱えた。
「ガキが生言うやないか。乱菊からチュウされる男は僕一人で充分や」
「ええ大人が嫉妬ですかー?男の嫉妬はみにくいでー、おとん」
二人はドス黒い笑顔で、ドス黒いオーラを放ちまくる。
ギンは畳にユキを降ろすと、可愛い天使は二人を不思議そうに見上げた。
「よう言うわ。お前も嫉妬深いくせに」
「僕はまだ子どもやからいいんですー」
すると、二人めがけて乱菊の渾身の一撃が繰り出された。
「痛ぁー!!!」
頭を押さえて悶絶する二人に、乱菊の怒声が振って来る。
「くだらない喧嘩ばっかりしないの!!今日は二人で寝なさい!あたしはユキと二人で寝るから!おやすみ!」
ユキを抱っこして部屋を出て行く乱菊。
乱菊の肩越しに手を振りながら『おやしゅみ』と笑うユキ。
『嘘〜…』
そんな二人を見送りながら呟く、見た目も中身もそっくりな父と息子。
暫く茫然としていたが、先に沈黙を破ったのはギンだった。
「しゃーないなぁ。今日はお父様が一緒に寝たるわ」
「…僕も、寝たらん事はないで」
「ほんま、素直やないなー冬夜は
」
「おとんに似てますから」
二人は笑うと、ギンの仕事部屋に布団を持ち込んでそこに横になった。