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□KANA様へ
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 「ほんま意地の悪い子やねぇ」

 僕の横を通り過ぎながら、日番谷君は舌を出した。

 その表情がまた、何とも憎たらしい。

 遠ざかって行く日番谷君の背中を見ながら、僕は笑った。

 (確かに邪魔はされたけど、あの子のお陰で乱菊が自分の気持ちに気づきつつある。この手を逃したあかんな)


 幼馴染から進んだ関係。

 それこそが、僕の望み

 君の隣は、僕のもん。


****


 「ねぇ、七緒。あたしとギンって、あんたの目にはどう映ってる?」

 授業が始まるまでの間、一番仲の良い伊勢七緒に聞いてみた。

 ギン程じゃないけど、七緒とも付き合いが長い。

 「どうって、ただの幼馴染みに見えないのは確実ですよね。むしろ、早く付き合えば、的な」

 「やっぱりそうなのね…」


 あたしだって分かってる。

 ギンとあたしが、周りから付き合ってるって思われてることくらい。

 そりゃそうよねぇ。

 あたし達、ほんと一緒にいるもん。


 「乱菊さんだって、市丸君の事好きなんでしょう?」

 「っう…それは…」

 そうなんだけど…。

 でも、今更なんか恥ずかしいじゃない。

 毎日一緒にいるし、それこそ生まれた時からよ?

 今更、何て言うのよ?

 「うかうかしてて、誰かに獲られても知りませんよ?ああ見えて、市丸君、モテるんですから」

 
 ゴーーーン…。

 頭に衝撃が走った。

 そう。そうなのよ…。

 糸目でニヤニヤしてて、何考えてるのかよく分からない顔してるくせに、あいつモテるのよね。

 「あいつの良さなんて、あたしだけが知ってればいいのよ…」

 思わず出た言葉に、七緒がジトッと見てくる。

 しまった!もう、恥ずかしいったらありゃしない。

 ギンの事となると、何故かうまくいいかない。

 美人で、格好よくて、姉御、なんて言われてるけど、ギンの事となるとてんで駄目。

 でも、あたしはもうずっと、ギンの事が好きで…傍にいたくて…。

 
 「その様子じゃ、大丈夫みたいですね」

 「何が?」

 「最近噂になってますよ?乱菊さんが、銀髪の高校生と怪しいって」

 銀髪の高校生…。

 って、もしかして冬獅郎ー!?

 あの子は遠い親戚で、今うちで預かってて弟みたいな存在で…。


 「何よそれー!!」

 あたしは周りの目なんか気にすることなく、叫んでた。


 
 だってあたしの指定席は、ギンの隣だもの。

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