Request
□KANA様へ
4ページ/6ページ
松本とは遠い親戚にあたる。
あまり会う事はなかったが、写真で見る彼女は他の誰よりも美しかった。
いつの間にか松本は俺の憧れとなり、恋焦がれるようになった。
「なぁ冬獅郎。お前、乱菊さんの家に住んでるって本当か?」
クラスメイトで、俺の後ろの席の黒崎一護がそう聞いてきた。
オレンジの髪に、ぶっきらぼうな態度。
しかし根は優しい男で、わりと仲がいい。
「あぁ。松本の家からここへ通ってる。親戚でな。お前、松本の事知ってんのか?」
「小学生の時から良くしてもらってたからな。あの人、みんなの憧れでちょっとした有名人だよ」
「へぇ…」
そうだろうな。
あの美貌に加えて、気さくで明るく誰とでも打ち解けられる性格だし。
容姿だけじゃなくて、中身も綺麗なやつだ。
みんなの憧れっていうのも頷ける。
「なぁ、黒崎。お前、市丸ギンって知ってるか?」
「あぁ。乱菊さんの彼氏だろ?」
「みんな、そう思ってんのか?」
「みんなそう思ってる」
確かに、今は違うとしてもそうなるのは時間の問題だろう…。
それでも、その未来が変えられないとしても、俺は諦めない。
松本の事を、諦めるつもりはない。
「なんだ?冬獅郎、乱菊さんの事好きなのか?」
「まぁな」
誰もが無茶だと笑うか?
でも、しょうがないだろ?
惚れちまったもんはよ。
松本の心に、少しでも俺の名が残ればいい…。
お前の隣に俺の居場所はないのだとしてもーーー
****