マギ1
□5.俺がお前を好きなんだ、お前も俺を好きになれ
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夜遅く。
図書館の鍵をひっそりと施錠し、ジャーファル様に見つからないように(つい先日、怒られたところである)こっそり部屋に戻ると何故か懐かしいシルエットが私の部屋の前にあった。
「よぉ」
『……あれ?』
そういえば図書館内の人が妙に少なくて(自分だけで)、外が少し(だいぶ)騒がしかった気がする。
もしかしてあのお堅い司書さんが私に鍵を託していったのは帰還の宴があったからか。
ジャーファル様が見回りに来なかったのは私よりもっと手の掛かる王様が帰ってきたからだろう。
目の前の人物からも心なしか酒の臭いがする。
あまりにも長い間会っていなかったせいか、そんなにげんなりはしなかった。
まさか、この時間から剣術を見せられることもないだろうし。
とりあえず、廊下で話すには目立つ相手なので部屋に押し込んだ。
その時に触れた艶やかな褐色は随分ひんやりしている。
…南国だって冷え込む夜もある。なんで気づいたんだ自分!
変なところで真面目そうなところが垣間見えるのが憎めないところだ。
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