マギ1

□sleep a month
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私の朝はマスルール様を探すことから始まる。


彼は自分の部屋で寝ていることがほとんどなく、屋外にいるので見つけにくいのだ。場合によってはファナリスの脚力を使わなければ行けないようなところで眠っていたりするから質が悪い。

しかし、私は少しアクロバティックな体術を修得しているので、場所さえ分かればなんとかマスルール様を起こすことができるのだ。

そういう訳で直属の上司のジャーファル様からこの仕事を頼まれて早一ヶ月、なんとかマスルール様を見つけ朝議に出席させることを成功している。



一昨日は森の中withパパゴラス、昨日は緑斜塔の屋根の上。



今日は…修練所だった。



気持ちよさそうに寝てるところ悪いけれど、たくましい肩を揺すってみた。



『マスルール様、起きてください』


「…………」


『マスルール様』



「……」



『おはようございます』



「…今何時で」



『朝議まで30分ほどです』



「……」



マスルール様はめんどくさそうに顔をあげると私の顔を一瞥してゆっくりと立ち上がった。

よし、仕事完了と私はにこにこしながら内心で一息ついた。

朝日が斜めに昇りつつあり、今日は洗濯物がよく乾きそうな日だなとか、朝ご飯何かなとか考え出した。

そして、いつもならそのままどこかに颯爽と去るのに今日はそうしないマスルール様に気づきそぉっと見上げた。

マスルール様は私を観察するかのように見下ろしていて、びっくりした。


「なんでオレの居るところが分かるんスか」



『何故と言われましても…』



見上げてみると190cm超の身長はやはり威圧的で思わず後ずさった。

しかし、マスルール様は明確な答えを求めているらしく、じっと私を見つめている。

そんなにじっと顔を見つめられると恥ずかしくて、少しうつむき加減に精一杯まともな答えを考えた。


『ええと…、マスルール様がよく眠っていらっしゃるのを見たことがあるところを適当に見て回るのと』



「……」



『後は、勘ですね』



これでいいだろうか、と顔を上げてみると相変わらずのポーカーフェイスが私を見下ろしていた。説明足りなかった…?


「めんどくさくないんスか」



『……?』



「毎日オレを探すの、めんどくさくないんスか」



『……よろしければ紫獅塔以外のところで寝てもらえれば、こちらとしては助かります』



「…分かりました」



それを最後にマスルール様はファナリスの脚力でどこかに飛んでいってしまった。

残された私はなんだかくすぐったくて、思わずふふっと息が漏れた。












今日はどこでお休みになることでしょうか。
 

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