マギ1

□2.……逆らうつもりか?
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※今更ですが超捏造注意です
名前だけシャルルカン出てきます



















「なんだって?」




ナマエが意気揚々と執務室に入ってきて言った言葉に、渋々取っていたペンが止まった。



『シャルがね、シンの代わりにバザールに連れて行ってくれるって!』



彼女の言うシャルとは最近食客としてシンドリアに来たシャルルカンのことだろう、たしかナマエと歳も近くこのごろよく一緒に見かけていた。

嬉しそうな彼女の顔は、今朝自分が「行けなくなった」と告げたときの表情とは打って変わって、花が咲いたように幸せそうで恨めしかった。



『ね、行っていいでしょ?』



彼女の問い掛けには俺から肯定の返事が返ってくるという、確信があったんだろう。

しかし、俺はそんなに心の広い人間じゃないんだ。



「ダメだ」



普段と同じ声色で言えていただろうか、いや、少し棘を含んでいたかもしれない。



『…え?』



「ナマエは俺と行く約束をしていたんだろう?」



座ったまま微笑を浮かべて彼女を見上げると、頬を膨らませて不満そうな顔をしていた。



『シンが行けないって言ったから』



「だが、シャルルカンより先に約束したのは俺だ」



畳み掛けるように言うと彼女は少し反抗的な目をした。ともに懇願の様子がそこからひしひしと伝わってきた。
何故、わかってくれないんだ。



『でもっ、明日で帰っちゃ「ナマエ」』



俺が自分でも思いがけず出た低い声で名を呼ぶと彼女の表情が引きつった。

ああ、そんなに脅えた顔をしないでくれ。
そんな顔が見たいわけじゃないんだ。

しかし、言葉は止まらない。



「俺に……逆らうつもりか?」



『…ごめんなさい』



ナマエは今にも泣き出しそうになってしまったが、それでも俺に従ってくれるのかと思うと嬉しくなった。
それとともに凄まじい罪悪感が俺を襲った。

今度はいつも以上に優しい声で彼女を近くに呼び、座ったままでも容易に届く小さな頭を宥めるように撫でた。



「いや、俺が仕事を溜めてしまったのが原因でもあるからな。次は何が何でも連れてくよ」



『約束だよ?』



ナマエの涙が溜まった瞳が俺の顔を恐る恐る覗き込んだ時には思わずドキリとさせられた。いつの間にか彼女も大人に近づいていることを確実に思わせる表情。



「あぁ、必ず」



その動揺に気付かれないように頬にキスすると彼女は幼く笑って、少なからず安心した。



「じゃあ、シャルに断ってくるね、お仕事がんばって」



逃げちゃダメだよ!と、ジャーファルと同じように釘を差して部屋を出ていくナマエはいつか俺から離れていくのだろうか。

考えるもののそうするつもりはなく、身勝手な自分に嘲笑がこぼれた。























あとがき
シリアスにするつもりも病ますつもりも無いのですが、勝手にキャラが走ってしまいました。
最終的にはハッピーエンドにするつもりです。

ちなみにシンドリアがいつ建国されたとかよく知らないので、適当です。

イメージでは夢主15歳、シンドバッド24歳くらいかと思ってます。
ほんとあちこち捏造しすぎてごめんなさい。

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