マギ1

□バレンタインのお返しに、
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『美味しい…』



「そんなに感動されるとこっちが恥ずかしいって」



「口にあったみたいですね」



出てくるものはどれも知らないものばかりでどんな味がするのか、最初は恐る恐る食べていたけれど、とても美味しくてどんどん食が進んだ。
リョウさんはシンドバッド王とジャーファルさんたちが旅してたころに旅先で出会った人で、リョウさんは料理人修行中だったそうだ。リョウさんの故郷は小さな島国で煌帝国の比較的近くにあるらしいが私は聞いたことなくて、少し申し訳なかった。
お店の看板料理の"スシ"はお米を炊いたものに生魚の身が乗った一口サイズのおにぎりみたいなもので、ジャーファルさんは器用に二本の棒…"ハシ"を使っていたけれども私は出来なかったので恥ずかしながら指でつまんで食べた。一応、作法としてはどちらでも大丈夫らしい。少し安心した。
スシを食べる時に付ける"ショーユ"はここのお店で作ってるそうで、門外不出だ!とリョウさんが自慢気にしていた。

お客さんがまばらだったことも合って、リョウさんも交えて三人で話しながらのんびりと食べているとけっこう遅い時間になってしまった。
  



「もうそろそろ帰らないといけませんね、お会計をお願いします」



『あ、お会計1人ずつでお願「おごります」』



私の言葉を遮って、ジャーファルさんは早々とお会計をすませてしまった。決して安くないのに。



『え、』



「こんな日に女性に払わせる訳にはいきません」



「おー、ジャーさん覚えてたんだな」



『あの…』

 


リョウさんとジャーファルさんの間で成り立っている会話によると、今日は何か意味がある日らしい。まさか、王様が仕事をしっかりこなした日…?



「ほら、ナマエ行きますよ」
  



「またなー、ナマエちゃんもまたおいで」 

 

『え…、あ、はい!』



その答えも聞けないままリョウさんに見送られて外に出ると、今日は殊更に月がとてもきれいだった。
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