マギ1

□sleep on the other hand
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sideマスルール

in バルバッド






毎朝、オレを起こしに来たあの人はジャーファルさんが見込んだだけあって、毎日毎日どこで寝ていてもオレを探し出した。今までオレを起こしに来た人は1ヶ月ももったことが無かったので、彼女が1ヶ月近く続いた頃から少し興味がそそられた。
黒い髪に黒い瞳、丸っぽい鼻にそんなに掘りの深くない横顔。失礼かもしれないが胸も…あんまりない。見た目は幼いのに、匂いは大人でいったい何歳なのか判別できなかった。
大人しくて仕事だけをこなすタイプかと思えば、嵐の日に森で寝ていたオレを周りのパパゴラスたちが萎縮するような気迫で叱った。

久々の謝肉宴で名前を初めて知って、次の日の朝に酔いつぶれた兵たちを起こすのを見ていると、無性に苛立って肩に乗っていた先輩を投げ出したくなった。覚えたての名前をさり気なく呼んでみると彼女が動揺しているのが見えて何かがくすぐったかった、先輩が起きるような素振りを見せなかったらもう少し話していたいとも。

バルバッドに発つ日、ジャーファルさんから言っておくように言われていたのに、それをすっかり忘れていた。仕方ないのでギリギリに部屋まで言いに行ったら彼女の匂いが何かをいろいろとそそった。珍しく目の下にあった隈を口実に頬に触れると彼女の身体が固くなって熱くなった。パパゴラスたちを萎縮させた姿とは打って変わって小動物かのような仕草。手を外されて指を組まれたとき、何故かシンドリアに帰ればまたあの人は起こしに来るのだろうか、と自分の中のどこかが聞いた。
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