マギ1

□sleep soon
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星が綺麗な夜だった。海洋生物も寝入っているらしく海面は穏やかで、船内もほとんどの人が眠り静かだった。そんな中で煌々と灯りが灯っている部屋が一つだけあった。


オレが長い間シンドリアを離れていたのは、建国以来だったかもしれない。

ぼんやりとそんなことを考えながら、馴染み深い主と先輩の話を聞き流していた。



「いやー、こんなにシンドリアを離れるのは久しぶりだったな」



「金属器さえ盗られなければ、ほんとはもっと早く帰れたはずなんですけどね」



「まあ全部戻ってきたじゃないか」



「…シンドリアに戻ればしばらく禁酒ですからね」



「ひどい!」



ジャーファルさんが禁酒令を予期させ、シンさんが自棄酒のようにグラスの中身を煽っていた。
それ以上飲めばさらにジャーファルさんの説教が続く気がしたので、とりあえず机上の酒類を全て回収した。



「マスルールまで!」



「もう寝た方がいいッス」



「そうです、あなた明日二日酔いの顔を国民に晒す気ですか!?」




けっきょくジャーファルさんの説教はしばらく続き、若干寝不足のまま朝方にシンドリアに着いた。

夜はまた酒宴になるだろうからそれまで少しでも寝ておこう、と港に着くとすぐに森に向かう。


久しぶりに踏んだシンドリアの土は足に馴染み、肺に吸い込んだ空気は体に融けるようで、オレの帰る場所はここなのだと改めて実感した。




いつもの木に背を預けると、微かにナマエの残り香があることに驚いた。


彼女はよくここに来るのか。

だからといってどうもしないので眠気に従い目を閉じると、どこか懐かしいパパゴラスたちが周りにやってくる気配がした。
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