マギ1

□とってもこわがりです
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シンドリアに久しく嵐が来た。
嵐が私の結界の中に入る前に気づいてはいたけれども、思っていたよりも大きなものでもう真夜中だというのに、たった今まですっかりその対応に追われていた。




やっと一段落ついて、きっと明日は忙しくなるから早く寝てしまおうと自室に急ぐ。
その途中で、廊下にしゃがみこむ小さな影を見つけた。
 

見慣れた小さな彼女はまだ幼く、いつもならもう眠っているはずの時間だった。



「…ナマエ?」
 



まだ寝てなかったの?と言おうとして口をつぐんだ。

たしかジャーファルさんはナマエが寝ついたので、と嵐の被害に対応していた。
しかし、ナマエは目を真っ赤にさせてここにいる。
ということはナマエは起きてしまったのだ。

雨風はともかく、きっと雷が怖かったんだろう。

私に気づいたナマエが胸に飛び込んできた。



『…ふえ、えっ、やぶひゃん!』
  



漏れた嗚咽はやっと出せたみたいで、今までこの暗い廊下で声も出せない恐怖に怯えていたようだ。


涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で必死に私にしがみついているその姿に、母性がくすぐられる。



「ほらナマエもう怖くないわよ」



優しく微笑みながら話しかけると、ナマエは私の目をまっすぐに見た。その額にキスを落とすと少し落ち着いたみたいだった。

外は雷は止み、雨風は多少残るもののずいぶんおさまっていた。



『あぐ、え、ひっく』



「まだ怖いなら眠るまでそばにいるわ」




"だからもう寝ましょう"




未だ泣き止まないナマエを抱き上げて、すっかり暗くなった廊下を歩く。よしよしと背中を撫でていると、いつの間にか涙がひいて眠そうにしていた。


ふと自分の口からゆったりとしたメロディーがこぼれだした。
よく覚えていないから歌詞は曖昧だったけれど、歌うに連れて懐かしさに襲われる。

その歌は泣き疲れたナマエが眠りにつくには十分で、部屋に着くまでにすっかり眠ってしまった。


ナマエをベッドに寝かせて、横の部屋をのぞいてみたけれどジャーファルさんはまだ帰ってきていない。

それならば帰ってくるまで、とまたさっきの歌を口ずさんだ。




どこか懐かしくて、たしか…

  


「…あ」







あの日もこんな嵐だった





シンドバッド王が嵐で眠れなかった私たちに歌ってくれた子守歌だわ






思い出すとふふっと口角が上がった。

あの頃はシャルルカンとケンカすることもまだあまりしていなかった。

  

少し思い出すとどんどん思い出が溢れてきて、私はここに来てよかったんだと思った。

そして、ナマエに目を落とす。


すやすやと眠る姿は無邪気で少し目元が腫れているだけだった。







「いつか…、」














いつかナマエも誰かに歌うようになるのかしら。






















あとがき

相変わらずの駄文ですみません
若干の過去捏造はもう十八番です!
そして、このアップ率の悪さ!
加えて文才の無さ!
こんな文が続きますがよろしければ、どうぞお付き合いください
 

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