マギ1
□4.好きって言うまで放さねぇ
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付き合えだの、キスしろだのと色々言っていたあいつがシンドバッド王のお供として、外交に行くことになった。
それを聞いた瞬間に私の心には虹がかかった。
これでしばらくの間、私に平穏な生活が!!
そう思うといくら朝食の席で不審に思われようと、にやける顔を元に戻すなんて…!
「なに嬉しそうな顔してんだよ…」
『べっつにー?』
目の前で不機嫌そうに焼きたてパンにかじりつくシャルルカンに鼻歌混じりの返事をすると、けっ、と丁寧に効果音付きで返された。
むっとして、向かいの皿にあった最後の小さなパンに手を伸ばして、一口で自分の口に押し込んだ。
「おいこら」
『おいしー!』
そして今度は向こうから褐色の腕が伸びて私の皿上の肉を奪っていく。
夜遅くに帰ってきて強制的にキスされた日から、こうやって食事をすることがよくある。たいていシャルルカンが私を見つけてさらっていくか、私たちのことを面白がっているピスティちゃんたちに仕組まれるか。最初はそれこそ全力で拒否していたけれど、他の八人将の方としゃべれる機会もできて色んなことを聞くのは楽しかったし、シャルルカンから聞く話も(ほとんど剣術のことばかり)聞くだけなら面白かったし、食べ方もさすがというかきれいで見ていて気持ちよかった。
そう言うわけでシャルルカンとの食事は嫌いじゃない。むしろ好きな方の部類に入るのかもしれない。
しかし、私は相変わらずシャルルカンをそういう風に見てはいない。
『お土産は簪がいいなー』
「へーへー」
残っていたスープを飲み干して、立ち上がりついでに言ってから、思わぬ返事が帰ってきてちょこっと驚いた。