マギ1

□月見酒again
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シンドリアの夏の夜空には、どこぞの国で【天の川】と賞されるものが見えることがある。
今晩はたまたまそれが見える日で、しかも謝肉宴ときた。前と同じようなシチュエーションにヒナホホ…さんとの約束を少し期待した。


何故か、忘れられているかもしれない、とは微塵も思わなくて頃合いを見計らい前と同じ場所へ行くと、そこには焦がれた人がいた。







そこそこ近付いたところでヒナホホさんが気付いてこちらを振り向く。その振り向き方が格好良すぎて少し目線を泳がせた。

うわ、やだ。何か変に緊張する。



「やっぱり来たな」



『おじゃまでしたか?』



「そんな訳ないだろう」



『…お久しぶりです』

 


「おぅ」



このやりとりが妙に気恥ずかしい。少し熱が昇った頬を隠すように俯くと大きな手のひらでわしゃわしゃと頭を撫でられた。

完全に子ども扱い…されてるのは悲しい気もするけれど……ああっ、ちきしょー!
その余裕なところさえ愛おしい!!


自分の心の中は(危ない方向に)大暴走。

それを表面に出さないように、子ども扱いしないでください、と拗ねたふりだけして酒盛りの準備をした。

















手すりに座って夜空を見上げる…ふりをして、ヒナホホさんを見上げた。いや、もちろん天の川もきれいだけれど、今至近距離でヒナホホさんの近くに居ることを確認できた方が私は幸せだし。



運良く再び手に入ったエリオハプトの果実酒と前飲み損なったレームの果実酒を続けて飲み、双方好い加減にほろ酔い気分。
ちょこちょこ愚痴をこぼしつつ、天の川の話をし、ヒナホホさんの娘さんの反抗期の相談も受けていると、二本ともあっという間に無くなってしまった。

ちなみに自分はレームの方が好きかもしれない。


少し間を置いてから、イムチャックのあのきっついお酒は締めに残して、無名のお酒を出す。

栓を開けてもらった瞬間に香ったのはよく知らない香り。

ふわふわした柔らかな香りに、うっすらレモン色の液体はお酒よりもジュースみたいだった。


色付きグラスに注いでしまったのであまりその色が映えないのは残念。

とりあえず、一口。





「…甘いな」



『蜂蜜みたい』



けっこうおいしくて当たりだなー、とか思うと少し欲が出てキンキンに冷やして飲みたくなった。残念なことに随分外気に慣れてぬるくなってる。




「こいつはあれだ、…冷やした方がうまそうだ」



『!!』



「ん?」



その声に思わず噎せそうになった。
同じ感想を持てたことが嬉しくて、…舞い上がりそう。



『…じゃあ、次はよく冷やしときます』



「そうだな」



頼んだ、とまた頭を撫でられてアルコールの入った頭は、この際もう子ども扱いでも何でもいいかと安直な判断を下した。






















今日は名残惜しくも早めに引き上げた。思いの外、謝肉宴の終わりが早かったからだ(ジャーファル様に見つかると後々大変)。


手間取る宴の後片付けを手伝って自分の部屋に戻ると酔いはほとんど完全に覚めて、寝付きにくかった。
睡眠薬替わりにと自分にいいわけ。
あのレモン色のお酒を白の浅い杯に薄く注いでなんとなく月の光に当ててみた。



『あ、』



月の光に液体の色が微かに変化した。

不意打ちににやける頬筋は下がらない。
しばらくは水面を見つめるだけでなかなか飲めなかった。


   



(それは確かにヒナホホさんの瞳の色)














あとがき

まさかの拍手に続編依頼が来ていて書こう書こう…と、何とか仕上がりました。
間が開きすぎてキャラとか文体とかいろいろおかしいのは勘弁願います<(_ _)>。
本当に増えてくれませんかねーヒナホホさん取り扱いサイト
 

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