マギ1
□the last lover’s tryst+α
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※相も変わらず悲恋です
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小さな村で薬草などを育ててひっそり暮らしていたナマエがある日、何の前触れもなく消えた。
最後に会った日からそんなに間はあいていないのに、薬草や野菜で溢れていた畑は全て平地に戻され、彼女の家は見知らぬ新婚夫婦が住んでいた。
近隣住民に話を聞いてみても、あまり情報は得られない。分かったのは本格的な冬になる前にここを発ったと言うことだけだった。
最後に会ったあの日、何か変わったことはあったか。
案外思い当たる節はすぐに思い出された。
ごめんなさい、体調が優れないの。
あの日、ナマエが俺を拒否んだ。
それは初めてのことで、少し残念に思いつつも、しかしそんなことよりも大人っぽくなった彼女に惚れ直していた。
かまわないさ
俺も張り合うように大人ぶって笑い、ナマエの艶やかな黒髪を指で梳く。
そのとき彼女は微かにホッとしたような表情を見せた。
それでも、それだけだ。
あの日、俺があんなに疲れてなかったらその異変に気づいていただろうか。それに気づいて、抱きしめたら彼女は打ち明けてくれただろうか。
畑の端に座り込んで空を見上げた。別に何の変哲も無いのに、そこにナマエの軌跡を見いだそうとしている自分はどうにかしてる。
とりあえず、俺の頭に疑問だけを残して彼女は消えた。
せめて、どこかに行くと言っておいてくれたなら納得したかもしれない。いや、自分のことだからシンドリアに無理矢理にでも連れ帰っただろうか。
そんなことを反復して考えていると、時間は一瞬で過ぎ去っていた。
「…シン」
珍しい声色の政務官がいつの間にか目の前に立っていた。
ジャーファルもこのことは知らなかったらしく、申し訳無さそうな表情でしかし静かに帰還を促していた。いつの間にか夜は明け、朝露で少し服が湿っていた。
勢いをつけて立ち上がり帰路に着きかけて最後にもう一度、もう訪れることはないであろう土地を見渡す。
「シン」
「ああ」
今行く、そう呟いた言葉は思いのほか弱々しかった。
あとがき
すいません<(_ _)>
前あげたやつの対だったんで、設定忘れる前にあげようと思って、案の定忘れてました