スウォン陛下の気になる人

□高華国
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さて、ソヨン姫が西国から来て3日が経った。



城で責務をこなしていたスウォンはふと我に返った。



「3日か…」




1週間前に西国から高華国に訪問したいとの申し出を受け姫が来てから3日が経った。



世話を手伝わせている女官の話しによると起き上がる事も出来ないほど状態が良くないとか…



(高華国に来た目的はなんだろう)






彼女をここに置いて置くのに問題はないが
西国にはこちらの現状をまた封書で送らなければならないな…



若干、面倒に思いながらも顔には出さずスウォンは立ち上がった。



















「ソヨン様、一口でもお食べにならないと西国に戻れませんよ」



そのころキハはお粥を持ってソヨンに食べさせようとしていた。


「ゴホッ、ゴホ、」









父上の役に立ちたいと願って来たソヨン。


しかし、役に立つどころか使い物にならない自分を痛いほど感じていた。


高華国には新王がいる。

非常に賢く博識で強いのだとか

私もそんな風になれないだろうか

どんな人なのだろうか。



医師から永くは生きられないと言われたソヨンにとって

いつしか高華国の新王は憧れとなっていた。


(会うことが出来た…)


それは一瞬だったけれどソヨンはとても嬉しかった。




熱に浮かされているソヨン。

お粥を食べさせることを諦めたキハが水を替えてきます。と部屋から出て行ったのを聞いた。


代わりに誰かの気配が近付いて来た。



「お加減はいかがですか?ソヨン様。」



「?(スウォン陛下…?」




ぼんやりと金の髪が見えてソヨンは上を見上げた。



なんでいるのだろう。とりあえず起きなければ


しかし動作も虚しく力が入らなかった。



「起き上がらなくていいですよ、その様子では話せそうにないですね。」


「クッ、げっゲホ。」


生理的な涙が頬を伝う。


スウォンは一瞬驚いた顔をした。



「高華国に治るまでいて、大丈夫ですよ。

西国には連絡して置きますね。」



涙がたくさん溢れて頬を伝っていく。



「父上、に…申し…ケホ、

訳ないとお伝えください。」




「分かりました」


スウォンは部屋から出て行った。


なぜ泣いたのだろうと思った。



ただ潤んだ瞳と落ちた涙が少し気になった。





「ジュドさん…」


「はい?」


「食べやすい果物をソヨン姫にあげる様に女官に言ってください。」


「…珍しいですね、陛下。」


「そうですか?お願いします〜」






ジュドはスウォンが何を考えているのか分からなかったが

心の中で何か変化があった様に感じた。











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