光の君
□@生徒会室の秘密
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花寺学院高校には源氏と平氏と二つの所属がある。
大まかに言うと体育会系が源氏で文化系が平氏だ。
自分はそのどちらにも所属していない。入学時にちょっと色々あってどちらにも入れなくなってしまった。
そしてもう一つ、花寺学院の伝統として烏帽子親と烏帽子子がある。
何故か俺はそんな烏帽子子なんていうものになっていた。
しかも、俺の烏帽子親は花寺学院のスーパーヒーローにして生徒会長の柏木優さんなのだ。
俺、福沢祐麒はこの人のおかげで波乱万丈な学園生活を送る羽目になってしまった。
放課後の生徒会室。
もうすぐ冬休みに入るため、終業式前に溜まっていた書類を全て片付けるために生徒会長である柏木先輩は書類の山と格闘していた。
生徒会の他のメンバーは既に柏木先輩が帰してしまったが、柏木先輩の烏帽子子である祐麒は自主的に残って生徒会室の掃除をする事にした。
「クリスマスはどうする?」
突然、光の君こと柏木優先輩が処理中の書類から目も離さずに言った。
「どうって・・・?」
祐麒は床を掃いていたホウキの手を止めて柏木先輩の方を向いた。
「何が食べたい?」
柏木先輩は相変わらず書類の山を物凄い速さで処理している。
「一応、家で毎年ケーキ食べますど・・・」
微妙に会話が噛み合ってない気がする。
「今年のクリスマスはユキチは僕の家のパーティーに来る事になってるから」
「は?」
「もちろん祐巳ちゃんとさっちゃんも招待してある。」
全ての仕事を片付けて、柏木先輩は両手の指をあごの下で組んで祐麒の方を見てニッコリ微笑んだ。もともと綺麗に整った端正な顔立ちだが、夕陽を受けて更に魅惑的だった。
「いいね。」
有無を言わせない言い方と何より祐麒は同性である柏木先輩に不覚にも見とれてしまい、思わず「はい」と答えてしまっていた。