小ネタ集

□13thシングル発売記念企画「賛成?反対?朝までカワイイテレビ!」
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珠:「続いては、ペンネーム「under the tall chestnut tree」さんからいただきました、ちょっと不思議なご相談です。

再現VTRをどうぞ。」


有:「朝カワパネラーの皆さん、こんにちは。

実は私......、見ちゃったんです。
「幽霊」を......!」

(投稿者役の木下有希子の語りが始まる。)

ここ数ヶ月の間、健康のために早朝のランニングを続けています。

(ナレーションに合わせて、住宅地を走る木下の映像が流れる。)

その習慣にも慣れてきたある日のこと。
いつものように近所を走っていると、見かけない人影が私を追い抜いていきました。
その瞬間は、他にも走っている人がいるのか、と思ったのですが、

有:(何、あれ?)

その人影は、ランニングウェアなどではなく、真っ白なワンピースに、長い黒髪を振り乱して走っていたのです。
それに、走り方もなんとなくおぼつかない様子で、さらには......。

うぅ、うぅぅぅぅぅ......。

うめき声をあげているのです!

有:(......何なの!?)

恐ろしくなった私は、そのまま家まで戻りました。
しばらくは別のコースを走っていたのですが、元のコースに戻ってからも、その人影には一度も会っていません。

(周囲が暗くなり、木下にスポットライトが当たる。)
有:「皆さん、やっぱり幽霊っているんでしょうか?」


珠:「この番組、ややオカルト的、SF的な話題が寄せられることもよくあるんです。
今回も、そういったテーマが登場です。」

松原が言っている間に、木下がスタジオに現れる。

有:「あの撮影、結構大変だったんですよ。
映像は数分ですけど、実際は何時間も走りっぱなしで。」

須:「それで、あの幽霊は誰がやってたの?
亜香里、ものすごく怖かったんだけど。

ゆっこの二役とか?」

有:「あぁ、あれはね......。」

木下の後ろからもう一人出てくる。

里:「みんな〜、久しぶり!」

中:「なんだ、北原だったの!?」

なんとそれは北原里英だった。

里:「実は『ギンガムチェック』のPVでの幽霊役経験があるから、スタッフさんから声かけられたんだ。
れなちゃんはパネラーだから、余計な先入観ができて議論に影響したら困るらしくて......。」


珠:「さっそく、議論していきましょう。」

愛:「こういう話題の時は、古川たちミステリーサークルの出番でしょ!
幽霊は専門外だけど、メンバーなら茉夏にチュリ、それに、ここにはまだ矢方も残ってるみたいだからね。
さて、矢方はどこかな......?」

古川につられて、一同が見回すと、

後:「みきてぃ〜、誰も見てないんだからいいじゃ〜ん。」

矢:「も〜、理沙子ったら〜。」

ちゃっかり観客席の隅に座って矢方とじゃれあう後藤。
矢方も、満更でもないらしい。

高:「そこ、なにイチャイチャしてんの!?
収録中だからねっ!!」

注意する高柳。

珠:「そろそろ本題に戻ってください。」

松原に促され、

向:「いるんじゃない?
あの、なんだっけ......、ラップ音?
あれ、私聞いたことあるよ。」

石:「そうそう!
お仕事とかでホテルに泊まったら、夜中にミシッとかパキッとか聞こえることあるよね!!」

柴:「あの、わたしも金縛りになったことあります。」

愛:「やっぱりいるんだよ〜、幽霊。」

盛り上がる古川たち。
そこに、菅が手を挙げながら静かに立ち上がる。

菅:「私の大好きな愛李さんの意見を全否定するみたいでちょっと嫌なんですけど、ここだけは譲れないので言いますね。

......幽霊なんていませんっ!」

静まり返る場内。

菅:「これまでの研究で、部屋や家具などに使われる木材の乾燥が不十分な場合、使っているうちにそこから水分が抜けると、変形したりひび割れたりして、音が鳴ることが分かっています。

そして、レム睡眠中の人間の身体は脱力していて、何らかの原因で意識が突然覚醒しても、すぐには動かせないものなんです。
そして、人間の脳は、動かそうとしても身体が動かないという状況を説明付けようとして、「身体を押さえつける誰か」の姿を脳内で作り上げてしまうんです。
それに、金縛りが、肉体的、精神的に疲れているときや、「幽霊が出るらしい」などの先入観がある時には、より起こりやすいことも研究で明らかになっています。

このように、ラップ現象も金縛りも、科学的に説明できるんです。
それを、科学的根拠に乏しい幽霊のせいにするのは......、不合理だと思いますっ!」

途中からは哀しげな表情を浮かべながらも言い切った菅。

奈:「ななちょ......。」

菅:「なな子だって、こういうことを言うのは、正直どうかと思ってます。
だけど、今のなな子の立場は「科学代表」なんですっ!
この場では、「科学的立場」でいなきゃダメなんですっ!!」

すると、

真:「なな子の言いたいことは分かるよ。

でも、合理的でないものを全て切り捨てるのが「科学的立場」なのかな?

この世界の中には、科学的には説明できなくても、そこに「ある」ものだってあるんじゃないかな?」

優しく諭すように言う大矢。

菅:「確かに、科学は万能じゃありません。
説明できないことだってまだまだあります。

......それでも、いや、それだからこそ、今の科学が及ばないことを、議論できない......、というか、すべきでない、ってなな子は思うんですっ!

真那さん、すいませんっ!!」

さらに静まり返り、各々で考え始めるパネラーたち。

珠:「こういった話題のとき、科学的立場の方とオカルト肯定派の方の議論がヒートアップすることはよくあるんですが、こういうパターンは珍しいですね......。」

思わずコメントする松原。

そのとき、大場があることに気づく。

美:「そういえば、玲奈さん、このテーマになってからまだ喋ってないですよね?
というか、ずっと下向いてますけど、どうかしたんですか?」

そう、彼女は冒頭のVTRを見て以降、俯いたままでいたのである。

玲奈は恐る恐るといった感じで口を開く......。

玲:「松原さん、その投稿って、もしかして豊橋市の人からだったりしますか?」

珠:「(手元の資料を確認して)いえ、群馬県の方ですが、それが何か?」

松原の答えに、安堵した表情を浮かべる玲奈。

玲:「......よかった〜!

実は私、生活習慣を変えようと思って少し前からランニングを始めたんです。
ちゃんとウエアも買ってあって、だいたいそれを着て走ってるんですけど、たまに寝ぼけながら部屋着のままで走っちゃうことがあって。
VTRを見ていたら、その格好を見た人がびっくりして送ってきたんじゃないかってハラハラしてたんです。」

玲奈が話している間に、スタッフが屈みながら松原に一枚のメモを手渡す。
それを見て、彼の表情が変わる。

珠:「玲奈さん......、残念なお知らせがあります。
今、あなたのマネージャーさんに、投稿者の方が「幽霊」を目撃した日のスケジュールを調べてもらったところ、あなたは、ロケの仕事で、群馬県内に滞在していたことが分かりました。
さらに、あなたが宿泊していたホテル、投稿者のご自宅の近くのようなんですねぇ......。」

先ほどとは違う意味で静まり返る場内。

花:「玲奈さん......。」

ゆ:「「幽霊の 正体見たり 松井玲奈」ですね。

す、すいません!
つい......。」

ポロッと漏らした木崎の言葉に、空気が凍り付く。

中:(ゆ、ゆりあ......、よりによって今それ言っちゃう?)

しかし、

綾:「......ぷっ、あはははは!!」

笑い出した北川に焦る一同。

綾:「あっ、ごめんなさい!!
なんか我慢できなくて......。」

珠:「皆さん、聞いてください!」

騒然となる場内を落ち着かせようとするように言う松原。

珠:「今回の出来事の真相が明らかになり、幽霊が関与していないことが分かった以上、このケースをもとに幽霊の存在を議論することは不可能です。

よって、この議論、ここで打ち切りとします!


under the tall chestnut treeさん、安心してランニングを続けてくださいね!」

突然の幕切れにあ然とするパネラーたち。

菅:「よかったんです、これで。
幽霊なんて、本当はいないんだから......。」

静かに呟く菅。

しかし、そのシーンを映したオンエアでは、彼女の右肩のあたりに「青白い手」のようなものが写り込んでいたのを後日見た菅は、人知れず恐れおののくことになるのを、この時は誰一人知る由もなかった......。

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