ハイキュー!<短編>

□失恋、ときどき、涙〈日向〉
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「ナイサー!」

「一本一本!」

「カバー!影山!」


練習も中盤にさしかかった頃みんな本気モード
今から試合してもいいんじゃないかってくらい


「ラッシャー!!」


田中さんのスパイクが決まったのと同時に大地さんが大声で声をかける


「10分休憩ー!!」

「オッス!!」


大地さんが大声をかけるとそれを上回る大声が返ってきた


「はぁー…きつー」

「ふー…」

「山口ー寝るなー!」

「あれ?ななさんは?まだドリンク作りに行ってるの?」


ちょうどななさんを目で探してたから菅原さんからななさんの名前がでてきてそっちのほうに耳を傾けた。


「遅くないか?」

「あ、あの俺ちょっと様子みてきます」

「おーよろしく」















あ、いた

ななさんは水道場にいた言われたとおりにみんなのドリンクを作ってた


でも、手が止まってる


「?ななさん?」


ハッとしたように身体を伸ばして腕で目の辺りをこすった


「ごめん!わたし、ぼーとしてて。今、急ピッチで作るから」


笑顔で振り向いたななさん。でもなぜか俺は胸が締め付けられたような苦しい気持ちになった



「…なんで」

「えっ?」



「…なんで、むりして笑ってるの」


一瞬ななさんが困惑した顔になった
でも、すぐに笑顔になって「むりしてなんかないよ」って…


「うそ」

「うそじゃないよ」

「じゃなんでそんな…


泣きそうな顔してんの」


「……え……」


その時、一筋の涙が彼女の頬から静かに流れていった。それから次々に涙が溢れ出してきた。


「…あれ…なんでだろ…泣き止んだつもりだったんだけど……」


目をゴシゴシとこすっても涙は止まらない



「…ご、めんっ…すぐに泣き止むから…やだなーこんな弱い自分」


そう言うとななさんはまたえへへっ…と力なく笑った



ほら、まただよ



「むりして笑わないでよ」

「……え…」

「むりして笑わないで。俺の前では涙流していいから、ねっ?」


俺はいつの間にかななさんを抱きしめていた


「…日向?」

ななさんは俺の胸にすっぽりはまった。それを軽く、優しく抱きしめる。
するとななさんは封を切ったように泣き出した。


「…つっ…ふっ…あ‥あぁっ‥」


精一杯声を押し殺して
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