短編夢
□掟
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並盛中の風紀員には逆らうな。
これは並盛りに住まう者ならば誰もが知っているであろう、暗黙の掟だ。
しかし、掟はそれ一つではない。
恭「―――――――ねぇ、名前」
いつもよりもやけに不機嫌な声音が響く。
名「な、何?」
恭「それ、どうしたの?」
雲雀恭弥が示したのは、名前の右の口端に貼られた絆創膏。
名「あ、え〜っと、昨日階段で転んじゃって!!」
恭「……ふぅん、そう。名前は僕に隠し事するんだ」
名「う……」
名前は言葉に詰まった。
名前はべつに嘘をつくのが下手なわけじゃない。
ただ、この男は名前に関して異常に感がいい。
というか、名前のことならきっと全部を知り尽くしているだろう。
そんな男に対して嘘をつくのは、はっきり言って無意味だ。
名「……う、昨日、街で子供をいじめてた不良に殴られました」
結局こうして、白状させられるのだから。
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