鉛色の心に

□Case#1
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「あれ?帰ってたのか」



同僚である雪翔はきょとん、とした顔で音羽の顔を見てきた

『ただいま?戻りました…』

音羽は元々使っていた机にまた荷物を広げた
自分がいなかった間は誰も使っていなかったようで、綺麗なままだったが、色々と連絡が書かれた付箋が机に貼られていた

「今回帰ってくんの遅かったな」

音羽はとある本丸の解体に関わり、その本丸の後継者が決まるまでの間、代理をこなしていたのだった

『次の審神者中々決まらなくて三ヶ月も代理してた』

「三ヶ月かー、長いな。そんな次の決まらなかったのか」

『前の主のせいもあるんだろうけど、“ちゃんと信用出来る人なのか”っていう意見が多くて、結局次の審神者が定着するまでわたしも一緒に生活することになったから余計長かかった』

「うわぁ…ドンマイだな」

音羽が所属する部署は監査課の中にある特殊な部署で、監査課の方で引っかかり、時の政府からの勧告も無視し改善がなされなかった本丸を強制的に解体する部署だ
様々な問題を抱えた末期の本丸を相手にするだけあり、今回のようなことも稀にある

「ま、無事に帰ってこれて良かったよ。大包平がずっとソワソワしてて面白かったぜ。こんなに長期間離れてたの初だろ?」

『確かにそうかも』

大包平は音羽が顕現させた太刀で彼女の相棒であもある

「メールでやり取りはしてたんだろ?」

『うん。始めの頃は今日の自分仕事内容が事細かく記載されてて読むの大変だった』

大包平から送られてくる報告メールは内容がビッシリで大変だったのだ

「大般若と三日月が注意しないからなー」

『雪翔が何か言ってあげてよ』

「だって面白かったんだもーん」

『だもーん、じゃない』

「あ、今日うちのボスいるから報告と挨拶行ってこいよ」

雪翔はここの部署の奥ある扉を鼻で指した

『!いるの?』

「いるぜ。今週はいるって言ってたし、いるうちに報告済ませてこれからのことも話してきた方がいい」

『わかった、行ってくる』

音羽はそう言って、奥の扉をくぐって言った



「ま、どーせ直ぐ次の任務回されんだろうけど」



〜END〜



(あの子に休める日はいつ来るのだろうか)
 

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