年上マネージャー
□第一話
2ページ/7ページ
1年ぶりの母校、西浦高校の校門をくぐり職員室に向かう。
見慣れない生徒はきっと1年生なのだろう。
琥珀は真新しい制服を見て、微笑ましく思った。
しかし、本人はまったく気付いていなかった…。
かなり注目されていることに――。
途中、元同級生たちと再会し、会話に花を咲かせつつも、琥珀は職員室に入った。
すぐに元担任だった先生が琥珀の存在に気付き、大きく手を振った。
「北原!海外はどうだった?」
『お久ぶりです先生。とても楽しかったですよ』
「そうか。いい経験ができてよかったな」
『はい』
元担任は満足げに頷いた。
そして、元担任は入口の方を見てハッとなり、声を張り上げた。
「志賀先生!これが例の生徒ですよ」
志賀、という先生が新しい琥珀の担任らしい。
琥珀は礼儀正しく腰を折って礼をした。
「話はかねがね耳にしていたよ。きみが北原 琥珀さんだね?」
『はい!一年間よろしくお願いします』
「うん。私は数学教師の志賀です。よろしくね」
志賀はにっこり笑って琥珀に手を差し出した。
琥珀は頭を上げ、すんなりその手を握った。
>