年上マネージャー

□第二話
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そんな時、あれ?と声を漏らした琥珀。

梶山は顔を上げて琥珀を見た。




『圭介、どこに行ったの?さっきまで居たよね』




教室中をキョロキョロ見回して琥珀は首を傾げた。

今は昼休みで、琥珀と梶山は昼食を取っていた。

だが、そこには普段は一緒の梅原の姿はない。




「あぁ、たぶん浜田のとこに行ったんだ」

『浜田の所?何で?』

「俺ら、あいつに誘われて野球部の応援団やってんだよ」

『……野球部?』




ピタッと動きを止めた琥珀。
きれいな黒瞳をまあるくさせている。

梶山は一瞬何をそんなに驚かれたのか、と思ったが、それはすぐに分かった。




「そっか。北原は知らなかったんだな。今年になって硬式野球部ができたんだ」

『…部員は何人?』

「え?10人だけど……」

『監督は?』

「ここの卒業生。それも女の人」

『…野球部、か』




梶山に根掘り葉掘り聞いて、琥珀は感慨深そうに「野球部」と呟いた。

その様子を見て、梶山は興味本位で身を乗り出して琥珀に聞く。




「なに、北原って野球好きなの?」

『うん!大好き!!』

「…お、おぉ!そうか……」

『マネジっている?』

「一年の女の子が一人…」

『一人なんて大変!なら、私も野球部のマネジする!!』

「え、……えぇぇぇ―――!?」




梶山の興味本位が、琥珀の何かに火をつけてしまったらしい。

突然の野球部のマネジになる宣言に驚く梶山を放って、琥珀は瞳をくるくるさせて楽しそうだった。




『そっかぁー!野球部できたんだっ!!』







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