絶望的なこの世界で。
□選んだもの
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…眩しい。
真っ白な光に包まれた世界。
こんなに安心したのはいつぶりだろうか。
『…!………!
あぁ、うるさい。
身をよじったその時、白い世界は一瞬で霧散する。
後に広がるのは…
「お、ちゃんと意識戻ったんだね」
フチの広い眼鏡をかけた女…いや、男にもみえる。
その人の顔が間近に迫っていた。
「…わわっ」
「なになに、その反応可愛い〜」
見ず知らずの大人が、自分の顔を覗き込んでいたら、そうなってしまうのも無理はないと思う。
ここはどこだ。
周りを出来る限り見渡したところ、今の今までこの白いベッドに寝かされていたらしい。
「あの、ここは…」
「調査兵団の本部、って言っても分からないか」
ガクッと大袈裟に俯きながら身を引く彼女、又は彼。
「君は地下街で大怪我していた所をエルヴィンさん達に助けられたんだ。三日間くらい眠り続けていたよ」
「エルヴィンさん…?」
「あー、説明するより見た方が早いと思うし。そろそろ来る頃だから、一緒に待ってよう」
はいと返事をしつつ、周りを冷静に観察する。窓からは日光が差しているし、遠くの方では薄っすらと木の緑が見える。
…私が感じたのは、この光だったんだ。
つまりここは、あの地下街ではない。
そういう結論に至った時、外からドアをノックする音が、静かに部屋に響いた。