花天月地

□桜の下で何を想ふ壱
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──現代


(…ん……あれ?)

朝目を覚ました僕は、頬の異変に気付いた

(また、だ…随分懐かしい気もするけど、どこか悲しくて…泣いたんだ、きっと夢で…)

それがどんな夢か、なんて覚えていない。けど高校生になってからと云うもの、何故だか頻繁に今日の様な事になっているのだ。

「…って、こんな事してる場合じゃないんだっけ」

この状態になった時は必ず遅刻する。何故って?そんなの知らないよ、仕方ないじゃない。

そんな事を思いながら僕は朝食も食べず、髪と制服を整えればアパートから出て行った。
あ、因みに僕は1人暮らしです。…誰にいってるんだろ。

…だからといって僕は急ぐ訳じゃない、自分のペースでいけばいい。急がば回れってやつだね。うん、いい勉強になった。

「流石に誰もいない、か…学生がこの時間に来てたら遅刻確定だけど」

クスクスと笑いながらも、ふと空を見上げる。青空の中の暖かい太陽が、僕を照らしていた。

「…もう少し早く来たら、あの子に遭えたりするかな?…平助が居るんだ、きっと逢えるよね。」

そう言いながら歩いて居れば見つけたのは薄桜学園の校門…と、鬼教師土方先生。

(うわぁ、よりにもよってなんであの人な訳?)

「ああ…?おい総司!お前どれだけ遅れてくりゃ気が済むんだ、こっちの身にもなりやがれ!!」

「別にーほっとけばいいじゃないですか、僕の事なんて。授業とかあるんでしょ?」

「生憎、今日は1時限目は暇してんだよ。流石に斎藤や南雲をここに居させる訳にもいかなかったからな」

そう言いながら見下してくるこの人に殺意が芽生えたのは言うまでもない、第一土方先生は風紀委員の顧問ってだけで出しゃばりすぎだと思うんだよね。

「はぁ…ほら、早く行きやがれ。今なら十分1時限目が受けれるだろうよ」

「はいはい、解りましたよ。行けばいいんでしょ、行けば」

そうして適当に返事をすれば僕は校舎内に入って行った。


「おはよーございまーす」

「総司!また遅刻しやがったな、土方さんに怒られてる姿きっちり見させてもらったぜ」

教室の扉を開けると新八先生が居た。それはもう笑顔で。…今日はよく殺意が芽生えるな。
僕はそんな新八先生を無視して窓側の一番後ろ、特等席に座る。

「おはよ!総司。また遅刻したのかよ。懲りねえなぁ」

そう云ってケラケラと笑うのは僕の前の席の平助、さっき名前は出したよね。

「煩いなぁ、君に言われたくないんだけど」

「な、なんだよ!!」

「煩ぇぞ平助!そんなに廊下に立ちたいのか?おーそうかそうか」

「ち、違えって新ぱっつぁん!誤解だって誤解…な?」

「俺は先生何だけどなぁ、何なら口の聞き方を土方さんにでも習いにいくか?」

「そ、それだけは勘弁して…」

「「「あははっ」」」

平助とは一緒に居るだけで楽しくなれるよね、本人が楽しいかは別として。

そんな事を想いながら今日という一日が始まった…
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