霊感事務員
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ぐるるる…と、喉を鳴らしたご機嫌な2匹の狼が俺の足元に頭を擦り付ける。今日は快晴、こんな日は散歩日和だ。裏裏山辺まで行ってみようか。午後の授業ないし。
一度、狼達を檻にいれて部屋に戻る。それにしてもいい天気だ。こんな気持ちのいい日に忍服なんてかったりぃもの着るもんじゃねぇな。うん。いつもの着流しにしよう。
上半身の服を脱ぎ、腰紐を緩めながら部屋に戻ると、みのりが何やら籠やら草取り用の鎌をまとめていた。
『どっかいくのか?』
俺を見たみのりは、訝しげな顔をしている。
「あァ、裏裏山辺まで薬草を取りに行く...璃粋、何故上半身真っ裸なんだよ」
『着替えようと思ってね』
「部屋で着替えろ。風邪引くだろう」
『へぇ、やっさしーねぇみのりん』
ヒュカッ、と草取り用の鎌が飛んできて真横にある柱に刺さる。何ちゅーもん投げてんだよ。ツンデレのツンの部分が激しいわ。愛が激しいわ。死ぬわ。
「...そういえば、学園長の言っていたこと、承諾したのか?」
『あァ、そんな話もあったなァ』
ぼんやりと学園長の言っていたことを思い出す。忘れていたわけではない。ただ現実味がなくて、また学園長の思いつきだろうとちゃんと考えていなかった。
『はァ、どうしたものか』
「まァ、ゆっくり考えろよ。まだ時間はあるんだ」
『そうだな』
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