プラ

□サナトリウム
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…今日も私は、独り。


療養所で。
高原に転地療法しにきてる。



あの日、離した手はサヨナラを言っていた。
あなた、私の名前…呼んでくれたよね。
でも、戻れないの。あなたの所へは。




ずっと帽子をかぶっているのは、日光に当たりすぎちゃ体に毒だから。


会いたいけど、会いにいけないの。
難病だから。



あなたに触れる事、もうできないのかな?


また、巡り会うまで、あと何光年?







私は、ただひたすら待つ。ここで。サナトリウムで。



あなたを待つの。



来てくれるかな?



…そんなの不可能だよね?
やっぱり。


私…もう…



あの日が最初で最後だったのね。
もう…逢えないのね。


ぽとり



瞼の裏側からこぼれた雫。



ぽとり
ぽとり



涙。






そして、私は何時もの古いベッドの上で目とじてみた。



すると、懐かしい感覚がする。
なぜだろう?
私は、目をあける。



あぁ、あなたが居たからか。


…来てくれたんだね。


ありがとう。

私は唱えた。
「サヨナラ」


そして、さいごの笑顔を向ける。
目は、もう死んでいるかもしれないけど。


此処から動けないから、もっと寂しくなっちゃうな。


でもね。



安心して
私は、笑うの。










サナトリウムで---。





ざわめき。胸を埋めつくして、
此処から動けないままで。何処にも行けないのは「こゝろ」
其処にいた君が笑うの。


サナトリウムで。
サナトリウムで。
サナトリウムで。
 

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