姫神小説
□I was kidnaped…
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1.私を拐ったのは…
最近日差しが強くなってきた。
「暑いなー…」
かぶき町でとある茶屋の看板娘が、言葉をもらした。
彼女の名前は姫。
容姿端麗で、気も利き、時に潔く、おまけに相談上手ときたら、彼女に好意をもつ人も少なくはないだろう。
子供から、老人まで好かれ、みんなの姐さん的存在だ。
「姫ちゃーん!」
「冷蒼、銀さん。」
「お茶とお菓子ちょーだい!」
「はいはい。今日はデート?」
「そ、そんなんじゃないよっ!」
「いや、デートだよ。…じゃ、手でも繋ぐか。」
「ぎ、銀さん!」
微笑ましいなぁ…なんて思ったり。
好きな人は…いない。
出会いがないわけではない。
いい人がいないわけでもない。
ただ…なんというか…心からいいなぁって思える人がいない。
運命…みたいな。
女の子なら誰であろうと、そういうのに憧れる。
「あ、冷蒼。新しい小説読んだよ。」
「ホント?嬉しい。」
冷蒼は小説家だ。
今回の話は平凡に暮らしてた美しい娘が遠い国からやって来たかっこいい人にある事がきっかけでさらわれる話。最終的には二人は恋に落ちて結ばれるのだ。お伽話のような可愛い話だった。
私もいつか…あんな物語みたいな…
夢を見てるってわかってるんだ。
それでもやめられない。
それから何日か経って。
いつものように店の前を掃除してた時、何か物凄い勢いで走ってきた。
そしてそれは目の前で止まった。
大きな傘をさしていて、三つ編みをしてて…逆光で顔はよく見えなかった。
「ごめんね。追われててさ、こんな賑やかな大通りで殺人するわけにもいかないしね。ちょっと君借りちゃうよ。」
その人はそういうと、私を抱え上げた。
よくわからないけど、たぶん人質?ということなのかな…?
「そんな矢鱈に攻撃しちゃうとこの人に当たっちゃうよ。」
「クソっ…」
しばらくお姫様抱っこ状態でその人は走って、機械?艦に乗らされちゃって
「君のお陰でいつもより楽に逃げられちゃった。地球はこれから何度も来ないといけないから、騒ぎに騒ぎを重ねれなくてね。ホント困っちゃうよ」
「なんで女の子なんかつれてんの?」
「あ、阿伏兎。いや、騒ぎを起こさないように、追っ手から逃げるためにここまでついてきてもらったんだ。」
「女の子拐ってる時点で騒ぎ起きてる気がするんだが……というかどうすんだ?もうこれ出発しちゃってるけど?」
「あり?ホントだー。どうしよっかー…」
「え、私…」
え、出発してるって…
「今引き返すわけにもいかないしねー…仕方ないから次地球に来るまでここで過ごしてもらおうか。」
「えっ、!?」
「大丈夫、女と子供は殺したりなんかしないから。だって子供はこれから強くなるかもしれないし、女は強い子を産むかもしれないからね」
「まぁ、そういうことだ。次、地球にくるのは三ヶ月後ぐらいだ。それまで辛抱だな」
え、嘘…わ、私…これからどうなるの…