火黒
□大きな背中
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授業中、目の前にある大きな背中を見つめる
いつだって頼もしくて逞しい背中
ボクはこの背中が好きだ
包容力があって、何があっても守ってくれそうな…そんな背中だ
「………黒子。」
「はい?」
今は国語の授業中
静かな教室の窓際、ボクの目の前の席に座っている紅が声を潜めて話しかけてきた―…
「なに人の背中ガン見してんだよ。」
「え…。…火神くん、まさかキミ背中に目でもついてるんですか?」
そう尋ねれば呆れた声を出して
「バーカちげーよ、感じんだよお前の視線が。」
ドキッ…
「…キミだけは僕がいくら影を薄めても気づいてくれますね。」
そう言えば紅が後ろに振り向いて
「当たり前だろ。オレはお前の相棒なんだぜ?」
まあ最初はその影の薄さにはびびったけどな
と笑いながらボクの髪を掻き乱してくるキミ。
でも火神くん……
「火神くん…」
「あ?」
「今…授業中ですよ。」
乱れた髪を直しながら頬が熱くなるのを感じた
「大丈夫だって、誰も見てやしねーよ。」
「そういうものでしょうか…」
「そういうもんだ。」
と言ってまた前を向いた
このあと、火神くんだけ先生に怒られたのはまた別のお話―…
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