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□第六十四訓 真選組動乱篇始動
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ーーーーーー真選組屯所
とある日、真選組の平隊員は縁側で話していた。
「聞いたか?
近々あの人が仕事終えて、江戸に戻ってくるらしいよ。」
「先生だろ。
荷物の方が先立って屯所に続々届いてるよ、あの人が仕入れた新型武器。
なんか上物の刀剣とかも手に入れてきたらしくて、上の連中が取り合ってるって話だ。」
「いいなァ。
俺もほしいなァ、おニューの刀。」
そんな二人の後ろから人影。
「ゴホン。」
「「?」」
後ろから聞こえた咳に二人は振り向く。
「あっ、山崎さん。
あ"あ"あ"あ"‼」
山崎を見て、一人が気づく。
その視線は山崎の腰にある刀。
「ひょっとしてその刀は……
長船M-II(マークツー)⁉」
「スゲー‼
ブランドもんだ‼カッケー‼」
「あの、俺別に自慢しにきたわけじゃないから。
たまたま通っただけだから、たまたま……。」
ワザとらしい言い訳をする山崎。
「いいな〜。
今、渋谷界隈のオシャレ侍はみんな長船らしいっスよ‼最先端っスよ‼
ちょっと!ちょっとだけ素振りさせてください!」
山崎は遠慮なく、平隊員に刀を手渡す。
それを嬉しそうに平隊員は振るった。
「ああ!やっぱ違うわ、ブランドもんは‼」
「しかも防水加工らしいよなんか。
別に自慢してるわけじゃないけど…。」
「おーい何を騒いでるんでィ、てめーら。」
と、そこへ沖田。
「あ、沖田隊長。」
「見てくださいよ、山崎さんのか……
ん?」
またもや沖田の刀に視線がいく。
「あ"あ"あ"あ"あ"‼
その刀は……
菊一文字RX-7(アールエックスセブン)‼」
沖田は刀からイヤホンをさし、シャカシャカと音楽を聞いていた。
「デジタル音楽プレイヤー搭載で連続再生時間最大124時間にも及ぶ大業物……菊一文字RX-7‼」
「長船の倍の値段だよ。
さすが隊長格はさしてる獲物も違う‼」
「あー、コレそんなスゴイんだ。
適当にもらってきたからしらなかった。
アレ?その棒?山崎何買ったの?
その腐りかけの棒。」
「…………………。」
沖田の格が違う刀を出され、山崎は何も言えなかった。
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