将軍暗殺篇〜

□将軍暗殺篇 五
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あの紅桜事件以来、その姿は全く見なかった。
それが今や、あの時以上の殺気を持ってこちらを見ている。
それほどまでにこの男にとって、将軍暗殺は重要なものなのだろう。
名前は見つめてくる視線を逸らすことなく睨み返していた。


「まさかてめェだったとはな、名前。
情報でここにいることは知っていたが……」


高杉は吸い終わった煙管を懐にしまうと睨みつけてくる名前に近づいた。






ヒュン!






名前はこれ以上近づくなと鞘に収まったままの刀を高杉の首に添えた。
高杉は全く怯むことなくニヤリと笑う。


『私がここに来た理由……わかっているの?』

「知るわけねェだろ、てめェの考えてることなんざ」


名前はゆっくりと刀を下ろし、腰に収めた。


『銀ちゃんは貴方を殺す覚悟をしてる』

「んなこたァとっくに知ってる」

『貴方のところにくるわ』

「そりゃ好都合だ。俺も奴を殺したくて堪らねェんだ」


高杉は名前の言いたいことがわかった。


「止めても無駄だ。
いずれ俺たちゃ斬り合うことになる」

『それでも……』


一旦目を閉じ、次に開けた瞬間、彼女の殺気が突き抜ける。
高杉はククッと笑った。


「やろうってのか?俺と」

『私は貴方がしていることを止める。
あの人の大切なものを失いたくない。

だから……』







ガキィィィン!!







名前が一瞬のうちに刀を抜き、高杉に斬りかかった。
それをいとも簡単に自分の刀で受け止める高杉。


『今なら、なんだって出来る。
貴方を殺すことだって……!』



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