赤と猫

□第一話
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6月某日・・・

この日は5日後にテストがあるということで、全部活動休止期間だった。
加えて、土曜日ということから俺は日課のランニングを終え、
朝からゆったりとした時間を過ごしていた・・・が、



AM7:00


〈赤司っちぃぃぃ!!!〉


駄犬からの着信が俺の休日を壊した。


「・・・・・」


ブチッ ツーツー・・・


prrrr・・・


「ッチ・・・何だ黄瀬・・・」


〈いきなり切るなんて酷いっスよ!〉


「こんな朝っぱらから大声で電話してくるお前もどうかと思うが・・・」


俺が指摘すると黄瀬は〈うっ・・・〉と図星のように呻いた。


「・・・で、何の用だ?」


〈・・・怒らないで聞いて欲しいんスけど・・・〉


先ほどの勢いが嘘のように声が小さくなる黄瀬。


「内容によるな」


〈・・・勉強・・・教えて欲しいんス・・・〉


「・・・・・・」


〈あの・・・赤司っち?〉


無言の俺に黄瀬はおずおずと聞いてくる。


「・・・つまり、お前は5日後のテストで赤点を取るき満々ということだな?」


〈そっそういう訳じゃ!!・・・なくもないっス・・・〉


電話越しの無言の圧力に黄瀬の声はしぼんでいく。


〈緑間っちに聞いたんスけど・・・
 今回のテスト、赤点を3教科以上取ったら週末に補習が入るんスよね?〉


「ああ、それに今週末は練習試合だな」


〈それなんスよ!俺、練習試合に出たいんスよ!!〉


「赤点を取らなければいいだろう」


〈それができないから言ってるんスよ(泣)〉


黄瀬の言葉に俺は少し考える。
今週末の練習試合の相手は全国大会常連校だ。
いつものメンバーが出れば圧勝は確実だが、控えのメンバーが出るとなると圧勝は難しい。
黄瀬が赤点を取るということは、青峰も赤点を余裕で取るということだ。
そうなるとスタメンが2人いなくなる。


「・・・分かった
 俺は今日は特に用事もないから家に来い」


〈ほ、本当っスか!?〉


「ただし、青峰も連れてこい」


〈えっ!青峰っちもっスか?〉


「お前が赤点を取るということは青峰も確実だろう」


〈俺が言っても来てくれるっスかね?〉


「お前の部室のロッカーにある堀北マイの写真集を全て燃やされたくなければ来い、とでも言っておけ」


〈は、はいっス・・・
 じゃあ、8時頃に行くっス〉


「ああ」


ピッ、


「・・・騒がしい一日になりそうだな・・・」


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