企画
□始まる
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『あ…』
いつものようにヤガラちゃんで新鮮な果物の配達に出ると、
わたしが密かに想いを寄せているパウリーさんを見つけた
パウリーさんの方も、いつものようにファンと借金取りに追われている
そんな姿を見て、
ふふ、と思わず笑みが溢れた
「あっ!おいお前!」
パウリーさんの大きな声に、何事かと目線を戻せば、
彼はこちらへ一直線に走ってきていて
『えっ!?ええっ!??』
と嬉しいやら戸惑いやらで上手く頭が回らなくなって、
そうこうしている内にパウリーさんは、歩道から少し離れた場所を走っていたわたしのヤガラちゃんに飛んできた
ザッバーン!!と大きな水飛沫をあげると、ヤガラちゃんが大きく揺れた
「早く出してくれ!」
とわたしの後ろで言うパウリーさんに、ヤガラちゃんは「にーっ!」と答え、猛スピードで泳ぎだした
そんなこんなで、
わたしとパウリーさんの物語は突然始まった
始まる
(おいお前、顔真っ赤だぞ!)
(ぱ、パウリーさんと、お近づきになれちゃった…!)